可換環 $A$ のイデアル $p$ は
- $p \neq A$
- $xy \in p \rightarrow x \in p \ \text{or} \ y \in p$
を満たすとき素イデアルという。$A$ を $p$ で割ると整域になる。
例
整数 $Z$ は可換環で、$nZ \ (n \in Z)$ はイデアルになる。$n$ が素数のとき、$nZ$ は素イデアルになる。
例えば $3Z$ は素イデアル。実際、$3Z$ は自明でないイデアルで、$xy$ が $3Z$ に含まれていたら、$x$ または $y$ が $3$ の倍数になるため、$x$ または $y$ が $3Z$ に含まれる。
しかし $6Z$ は素イデアルでない。$xy$ が $6Z$ に含まれているとしても
\[ x = 2m \quad \text{(m は 3 の倍数でない)} \\ y = 3n \quad \text{(n は 2 の倍数でない)} \]
のとき、$x$ と $y$ はどちらも $6Z$ に含まれない。素イデアルは素数を拡張した概念といえる。