ヘーゲルはカント哲学を継承してドイツ観念論を発展させた哲学者。フランス革命やナポレオン戦争といった変化の激しい時代を背景に、弁証法から道徳と歴史を分析した。
弁証法
二つの相反する矛盾が高次元の解決をつくっていく過程を弁証法という。
テストでいい点数をとりたいが、勉強したくないとする。いい点をとることと勉強しないことは相反するが、ほどほどに勉強してそこそこの点数をとる方法を見つけたとする。
いい点をとる + 勉強しない
ほどほどの方法
プラスとマイナスの気持ちから「ほどほどに勉強する」やり方を身につけても、しばらくして「受験に合格しなければいけない」という別の問題と折りあいをつけないといけない。

現実はいつも、矛盾するようなプラスとマイナスの気持ちや状況をうまく折りあいをつけて進む。ヘーゲルは歴史も同じように分析した。
ヘーゲルの弁証法では、
正と反の止揚
新しい正
正と反の止揚
新しい正
絶対精神
ヘーゲルにとって歴史は、絶対精神と呼ばれる概念が自由を獲得する過程である。
国王が市民革命に敗れたあと、ナポレオンがフランスとヨーロッパを支配して世界を変えたという過程は、「絶対精神がナポレオンを操って弁証法的に発展した」とみなされる。
法、道徳、人倫
社会の秩序は法と道徳からなる。法は客観的だが、道徳に欠ける側面をもつ。一方、道徳は主観的で人によって異なる。法と道徳は正と反の関係にある。
法 + 道徳
止揚
人倫
弁証法は、法と道徳から止揚によって人倫という共同体を生みだす。
ヘーゲルは三種類の人倫をあげている。
一つは家族であり、もう一つは市民社会である。
家族は互いの愛で結びつくが、それゆえに個人の主体性は実現されない。逆に市民社会は個人の集合でしかないため、一人ひとりの自由が実現される。
家族 + 市民社会
止揚
国
個人と市民社会は弁証法における正と反の関係にあり、止揚によって新しい次元の共同体(人倫)を生む。それが国である。