中学受験と高校受験の「川の作用」を説明します。
川は三つの作用をもちます。
- 浸食作用 … 川の底や岸を削る
- 運搬作用 … 石や砂を運ぶ
- 堆積作用 … 土砂を積もらせる
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浸食作用
浸食(しんしょく)作用は川の底や岸を削る作用です。川にはたくさんの土砂があり、上流のほうではゴツゴツした岩もあります。こうした土砂が川底などにぶつがって、どんどん削っていくのです。
水の流れが速いほど削りとる土砂も多くなります。険しい上流は水の流れが速いため、川底は削られやすくなります。
上流の浸食作用で上図のような深い谷が作られます。これをV字谷といいます。V字谷は峡谷(きょうこく)ともいいます。英語では canyon (キャニオン)といいます。受験生は峡谷という言葉を覚える必要はありません。
多くの川は山から平地に向かって流れます。V字谷は山で見られる地形です。
V字谷はアメリカ・アリゾナ州(西海岸カリフォルニア州の東隣)のグランド・キャニオンが有名で、世界的な観光スポットになっています。
グランド・キャニオンを地上から眺めるとゴツゴツした岩壁が不連続に伸びています。下は上空からグランド・キャニオンを眺めたもの。
運搬作用
運搬(うんぱん)作用は、川が土砂を運ぶ作用です。
川の流れが速いと土砂はたくさん運ばれます。川の流れが遅いと、土砂が川底に落ちてたまってしまいます。
また川の流量(川を流れる水の量)が増えると、土砂がよりたくさん削られるため、土砂がたくさん運ばれ、川の水が土砂だらけになります。台風や大雨の後、川の水が茶色の濁るのはこのためです。
堆積作用
堆積(たいせき)作用は、川が土砂を積もらせる作用です。
運搬作用と川の速度の関係を考えてください。川の流れが遅いと、土砂が川底にたまりやすくなります。
川の流れが遅い → 堆積作用がアップ
堆積作用は扇状地と三角洲という二つの地形を作ります。扇状地は上流から中流にかけてできる土地、三角州は下流でできる土地です。どちらも川が運んできた土砂が積もってできた土地です。
- 扇状地(せんじょうち)
- 三角洲(さんかくす)
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扇状地
上流から中流にかけて、地形も川の流れも大きく変わります。ここで上流から運ばれてきた土砂がたまり、斜めになった地形、扇状地を作ります。扇状地は水はけがいいので、果樹園に都合のいいとされています(中学受験の社会でよく出る)。
三角洲
三角州は、下流で土砂がたまってできた土地です。三角州は川の河口あたりで作られます。水をたくさん含むので、稲作がさかんです。
堆積作用から扇状地と三角州が作られることを覚えましょう。
農業への利用
扇状地は果樹園、三角州は稲作に利用されます。