円安が日経平均株価に与える影響を議論する人が増えている気がします。私の個人的な意見は
円安は日経平均株価とあまり関係しない
です。円安は輸入価格とエネルギー価格を上げますが、日本の消費者は購入絶対量を減らして全体的なインフレーションを抑えるでしょう。それは内需に頼る企業の業績を著しく悪くしますが、円安による輸出増大とうまく相殺するかもしれない。
日経平均株価は企業の利益に P/R ratio をかけたものです。P/R ratio はある種の期待度で、日本経済の期待度は世界でも突出して悪い。これが 12 から 11 になり、やがて 10 になっても妥当としかいえない。この数値は円安と直接は関係しない。
結局のところ、日経平均株価に最も影響を与えるものは日銀の ETF 購入と経済成長です。
日経平均株価と日銀
将来の日経平均株価は次期日銀総裁の方針でトレンドが決まる。次の日銀は黒田日銀総裁がつくりあげた膨大なバランスシートを縮小しつつ、株価を通して日本の経済をうまくコントロールしないといけない。
日銀は ETF の購入から売却にきりかえるかも。この場合、売却はおそらく 100 年間かかる。それはともかく、購入の縮小と売却は日経平均株価を上からおさえつける役目をもちます。
逆に考えるとわかりやすい。誰が日経平均株価を買うのか? 今までは日銀、次は誰? 企業と個人投資家? 企業はともかく個人投資家は株式市場のトレンドをほとんどつくらない。世界のファンドに期待するしかないが、ほとんどのファンドは日本に興味がない。
誰が末期的な経済の指標を買うか? という質問をするとき、日銀のいない日経平均株価に待っている未来が自然にわかると思います。
日経平均株価と経済成長
「日銀は株式の購入を縮小している!」と報道するメディアやアナリストを見て、「日銀はきちんと出口を考えているようだ」と考える人もいると思いますが、日銀にも日本経済にも明るい出口はそもそもありません。
しつこく主張しているように、株価は第一に経済成長、第二に金融政策で決まります。金融政策が持続的に機能するのは、経済成長のある国のみ。経済成長のない国の株価は長期的に下落し、いかなる金融政策も持続的に機能しない。
アベノミクスはこの真実を無視し、日銀に頼って科学技術に投資しなかった。科学技術にくわしい専門家が中心となって政府、自治体、大学、大企業、銀行が
・電気自動車
・自動運転
・半導体
・素材化学
・コンピューター
・ソフトウェア
・ゲノム編集
・iPS細胞
に投資する環境をつくる必要があったのにしなかった。私の得意な半導体とコンピューターでいえば、日本はアメリカの 10 年前を追いかけているだけ。トヨタ自動車もそのとりまきもハイブリッドや水素燃料にこだわって、折りたたみ携帯電話の独自開発を進めてスマートフォンの変革に残された歴史がまたくりかえされる。
そういう国で提言できることは
円安をいかそう! 今こそクールジャパン戦略を確立するとき!
くらいで、文化の輸出は経済成長にまったく寄与しない。