教科書や参考書の「酸化とは」の説明に「もっとわかりやすく言ってくれよ頼むから〜!」と思った方に向けて、酸化と還元をざっくりわかりやすく解説します。
酸化とは、酸素とくっつくことです。おしまい。
A + 酸素
酸素とくっつくから「酸化」なのであります。水素は酸素とくっつくと水になります。だから
水素 + 酸素 → 水
は酸化です。水素が酸化したんです! 水が酸化したわけじゃないよ。水は関係ない! しつこいけど、水素が酸化しました。下図は硫黄が酸化する様子。
ついでにいうと、金属も、食べ物も、私たちでさえも酸化してしまう。金属がむき出しになった家は酸化してボロ屋になるし、食べ物も酸化するとくさっちゃう。
学生のとき、私はこう考えました。「酸化はぶっちゃけ悪い反応である」と。
還元する
あなたの前に腐ったバナナがあります。酸化しちゃってもう食べられません。あなたは R という物質を注入して、腐ったバナナから酸素を奪いました。すると、あら、もとのきれいなバナナに戻りました。
腐ったバナナ → きれいなバナナ + 酸素
式で書くとこんな感じ。
Y → X + 酸素
このとき、あなたのラブ注入した R は「腐ったバナナを還元した」といいます。
☆R が腐ったバナナを還元した
ちょっと気をつけてください。腐ったバナナが還元したんじゃない。R が腐ったバナナを還元したのです。
○ R が腐ったバナナを還元した
☓ 腐ったバナナが還元した
受動態にすると
☆ 腐ったバナナは R に還元された
だね。問題を解くときは、「還元する」のか「還元された」のか気をつけないといけないざんす。
水酸化ナトリウムの反応で酸化と還元を理解する
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2
これは水が酸素を奪われて水素になる反応です。
「なるほど! これはさっきの腐ったバナナ的なやつだな」と思ったあなたは天才! ウソだよ。
腐ったバナナ → きれいなバナナ + 酸素
水 → 水素 + 酸素
とならべて考えればわかりますね。じゃあ、R に相当するものはなんでしょうか。
☆R が腐ったバナナを還元した
の R ですよ。結論からいうと R はナトリウムです。結論として
☆ナトリウムが水を水素に還元した
☆水はナトリウムに還元されて、水素になった
となります。おしまい。終了!
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2 で還元された物質はなんだね? という問題は中間試験や期末試験でほぼ確実に出るけど、
☆ナトリウムが水を水素に還元した
☆水はナトリウムに還元されて、水素になった
ともう理解できたから「水」ときちんと答えられるね。
この話がわかったら、酸化と還元の話は半分くらい理解できたことになります。おめでとう。これでキミは赤点を回避できたね。こうして私はまた一人の人間を救った。
還元する、のか、還元された、のか。教科書がややこしいのはここにあるんだけど、誰も言わない。どうして? わざと難しくしたいの? うん??
酸化還元反応の難しさは日本語にあります。教科書は
能動態
ナトリウムが水を水素に還元した
受動態
水はナトリウムに還元されて、水素になった
の違いをもっと強調しておくれ〜。
…で、ここまで初心者向けに書きました。次からは中級者に向けていろいろ書きました。記事の雰囲気が変わっているのは気のせいです。還元した、還元された、の話がまだピンときてない方は、もう読まなくてだいじょうぶです。
酸素と水素の授受による定義
- 酸素と結合すること、または水素を失うことを酸化という
- 酸素を失うこと、または水素と結合することを還元という
炭素が酸素と結合して二酸化炭素になる反応は「酸素と結合する」酸化です。「炭素は酸化された」といいます。
逆に、塩素が水素と結合して塩化水素になる反応は「水素と結合する」還元です。「塩素は還元された」といいます。
硫黄と酸素が結合して二酸化硫黄になる反応は酸化です。
電子の授受による定義
- 電子を放出することを酸化という
- 電子を受け取ることを還元という
金属の単体が電子を放出して陽イオンになる反応は酸化です。ナトリウムの単体が電子を放出してナトリウムイオンになる反応は酸化です。ナトリウムは酸化されてナトリウムイオンになります。
逆に、陽イオンの金属が電子を吸収して単体になる反応は還元です。
結論
酸化と還元の定義は
- 酸素と水素の授受による定義
- 電子の授受による定義
の二つがあります。
確認問題
Zn → Zn<sup>+2</sup> + 2e<sup>-</sup> において Zn は酸化したか、それとも還元したか。
- 酸化
- 還元
Zn は酸化した。