接続助詞は「ば」「とも」「ども」「て」「で」「ものの」「ものを」「ものから」「ものゆゑ」の九つ。
「ば」
「ば」は今も使われる代表的な接続助詞。「ば」は接続する活用形によって意味が異なる。
- 未然形+「ば」 … 順接仮定条件(もし~ならば)
- 已然形+「ば」 … 順接確定条件(~のでetc)
例えば「知らば」は「知る」の未然形に「ば」がついているので、「もし知っていれば」となる。
一方「知れば」は「知る」の已然形に「ば」がついているので、「知っているので」となる。
ただし已然形+「ば」は他にも意味がある。已然形+「ば」の意味をまとめると以下のようになる。
已然形+「ば」
- 原因理由 … ~ので
- 偶然条件 … ~しているとたまたま
- 恒常条件 … ~のときはいつでも
例文
- 風来れば、花散りぬ(風が来たので、花が散った)
- 犬歩けば、棒に当たる(犬が歩いていると、たまたま棒に当たった)
- 電車に乗れば、腹が痛む(電車に乗るといつも、腹が痛くなる)
「とも」「ども」
「とも」と「ども」は単語そのものは似ているが意味と接続が異なる。「とも」は終止形接続、「ども」は已然形接続。
- 終止形+「とも」 … 逆説仮定条件(~だとしても)
- 已然形+「ども」 … 逆説確定条件(~だけれども)
例文
- 勉強すとも、点取れじ(勉強しても、点は取れないだろう)
- 勉強すれども、点取れない(勉強したが、点は取れない)
「て」「で」
「て」「で」も単語そのものは似ているが意味と接続が異なる。「て」は連用形接続、「で」は未然形接続。「て」は今の「て」とまったく同じ。
- 連用形+「て」 … 単純接続(~て)
- 未然形+「で」 … 打消接続(~ないで)
例文
- 勉強して、点取る(勉強して、点は取る)
- 犬歩かで、棒に当たらず(犬は歩かないで、棒に当たらない)
- 寝で、食べず(寝ないで、食べない)
「ものの」「ものを」「ものから」「ものゆゑ」
四つともすべて同じ意味と用法。意味は逆説(~だけれども)で、連体形接続。今も文語で使われる(「ものから」「ものゆゑ」はほぼ使われない)。
例文
- 雪降るものの、積もらず(雪が降っているが、積もらない)
- 勉強するものを、点取れず(勉強するが、点取れない)
- 本を買うものから、読まず(本を買っても、それを読まない)
- 夜来るものゆゑ、空明かし(夜が来たのに、空が明るい)
「ものの」などは平安期の作品にはほとんど見られない。