鉄(Fe)は原子番号26、8族4周期の元素。
純粋な鉄は灰白色で、炭素を加えると強度が増える。地殻を構成する4番目の元素。
項目 | Fe |
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原子番号 | 26 |
周期 | 4 |
族 | 8 |
電子殻 | 2, 8, 14, 2 |
原子量 | 55.8 |
分類 | 遷移金属 |
常温常圧 | 固体 |
Fe2+
Fe2+ に水酸化ナトリウムを加えると、緑白色の沈殿ができる。他の反応は次のとおり。
加えるもの | 化学式 | 色 |
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NaOHaq | Fe(OH)2沈殿 | 緑白色 |
NH3aq | Fe(OH)2沈殿 | 緑白色 |
K4[Fe(CN)6]aq | 沈殿 | 青白色 |
K3[Fe(CN)6]aq | 沈殿 | 濃青色(ターンブル青) |
KSCNaq | 沈殿しない | 無色水溶液 |
サリチル酸aq | 沈殿しない | 無色水溶液 |
Fe3+
加えるもの | 化学式 | 色 |
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NaOHaq | Fe(OH)3沈殿 | 赤褐色 |
NH3aq | Fe(OH)3沈殿 | 赤褐色 |
K4[Fe(CN)6]aq | 沈殿 | 濃青色(ベルリン青) |
K3[Fe(CN)6]aq | 沈殿しない | 暗褐色水溶液 |
KSCNaq | 沈殿しない | 血赤色水溶液 |
サリチル酸aq | 沈殿しない | 赤紫色水溶液 |
K4[Fe(CN)6]aq はヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸カリウム水溶液、K3[Fe(CN)6]aq はヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸カリウム水溶液のこと
錯イオン
鉄イオンは CN-(シアニド)と錯イオンを形成する。二価、三価ともに正八面体で、配位数は6。
Fe2+
→[Fe(CN)6]4-(ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸イオン)
Fe3+
→[Fe(CN)6]3-(ヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸イオン)
二価の鉄イオンは四価の錯イオン、三価の鉄イオンは三価の錯イオンになる。
スチールウール
中学理科の実験でよく出るスチールウールは、鉄を繊維のように細かくしたもので簡単に燃える。これは鉄の酸化反応である。
3Fe + 2O2 → Fe3O4
製錬
鉄は鉄鉱石(赤鉄鉱、Fe2O3)、コークス(C)、石灰石(CaCO3)から作られる。二つを高温の溶鉱炉に入れると、鉄鉱石がコークスにより還元されて鉄になる。この還元反応は二つの反応からなる。
Fe2O3 + 3C → 2Fe + 3CO
Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2
鉄鉱石は直接還元されて鉄になり、一酸化炭素が生じる。この一酸化炭素は還元剤として鉄鉱石をさらに還元し、鉄と二酸化炭素ができる。鉄鉱石に含まれる不純物は石灰石と反応してスラグになる。
鉄鉱石を還元してできた鉄を銑鉄(せんてつ)という。銑鉄は少量の炭素を含むため、高炉において高温の酸素を混ぜて炭素を除去する。こうして得られた高密度の鉄を鋼(こう)という。
鉄鉱石
↓(溶鉱炉)
銑鉄
↓(高炉)
鋼