東大出版会の「統計学入門 (基礎統計学)」は統計学で最も有名な専門書の一つ。数学の理論と数学を超えた実用性をうまく取り入れた良書で、多くの理系大学生に使われています。
統計学という言葉がひとり歩きして数学外の応用性が強調される場面があると思いますが、時代がどれだけ進もうと統計学は片足を数学につっこみつづけます。それは統計学の根っこに微分積分や測度があるからです。
本書は数学をガリガリと論じているため、鼻をほじりながら寝っ転がって読むものではありません。じっくり読むと「統計学はやはり数学をさしおいて論じられない」と痛感すると思います。
著者 東京大学教養学部統計学教室(編著)
出版社 東京大学出版会
ページ 307
ISBN 9784130420655
理系大学生におすすめできる本
「とりあえず統計学を軽く把握したい」というよりは「統計学の学問的な基礎をなんとなく知りたい」という目的に合っています。
本書は専門的な数学を論じているため、数Ⅲの微分積分をやっていないと吐きそうになるほどの苦痛を味わうかもしれない。
また一方で数学を専門にする人にとっては、理論がなんとなくぼやけている印象を受けるかもしれない。かゆいところに手が届かないという感じ、もう少しつっこんだ厳密な理論がほしいという感じ。しかし理系文系問わずの「統計学入門」に厳密すぎる数学を求めるのは間違っています。
この本は「数学を専門としない大学二年生の理系大学生」がちょうどうまく対象になると考えられます。
読了後、数学をわかった気になれる
読み終わると、統計学を学問的にマスターできたような感じがすると思います。「エクセルでごにょごにょやっているだけでは到達できないレベルまできた」ような感じをもてるのは、その後の実社会でなにかの形できっと役立つでしょう。
管理人の経験とおすすめの使い方
管理人は大学一年生のとき、基礎統計という授業でこの本を買って勉強しました。そのときは微分積分が嫌いだったため、それこそハイチュウをくちゃくちゃ食べながら寝っ転がって読んでいたと思います。
そうすると全然理解できないわけです。確か「ぎりぎり可」でした。
本書の使い方は、机に向かって、紙とペンと本書を並べることです。そして本に出てくる数式を適宜書きとる。統計学の数学は、わかっていたのにいつの間にかわからなくなっていることだらけです。
「ここちょっとむずかしいな」と思ったら、だまされたと思って数式をねちねち書いてみよう。「いちいち書かなくても頭の中で完結するはずだ」という浅はかな考えだと、管理人の二の舞いになっちゃうよ。