司法試験 短答式 2024 憲法 第2問
私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.4])
- ア 最高裁判所は、私企業での男女の定年年齢を区別した就業規則の効力が争われた事件において、社会情勢の変化に伴う人々の意識の変化に言及することなく、企業経営上の観点から合理的理由がないことにより、当該規則が性別のみによる不合理な差別を定めたものとして無効とした。
- イ 最高裁判所は、私立大学学生が大学当局の許可なく学外団体に加入したことに起因する退学処分の効力が争われた事件において、大学が学内外を問わず学生の政治的活動につき広範な規律を及ぼすとしても不合理とはいえないが、退学処分に際しては、教育機関にふさわしい適切な手続と方法により反省を促す過程を経る法的義務があるとした。
- ウ 最高裁判所は、学生運動歴等を理由とする私企業による本採用拒否の効力が争われた事件において、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害の態様、程度が社会的に許容し得る範囲にとどまる場合、憲法を適用ないし類推適用せず、私的自治に対する一般的制限規定である民法第1条、第90条等の諸規定の適切な運用によって調整を図るものとした。
- 1 ア○ イ○ ウ○
- 2 ア○ イ○ ウ×
- 3 ア○ イ× ウ○
- 4 ア○ イ× ウ×
- 5 ア× イ○ ウ○
- 6 ア× イ○ ウ×
- 7 ア× イ× ウ○
- 8 ア× イ× ウ×
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(ア○・イ×・ウ×)。ア:日産自動車事件(最判昭和56年3月24日)は、男女別定年制の就業規則を性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条により無効とした。記述は判例の結論に沿い、正しい。イ:昭和女子大事件(最判昭和49年7月19日)は、私立大学の包括的な規律権能を認めて無許可の学外団体加入等を理由とする退学処分を有効としたが、退学処分に際し反省を促す過程を経る法的義務があるとはしていない。誤り。ウ:三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日)の判旨は、侵害の態様・程度が社会的に許容し得る限度を「超える」場合に民法1条・90条等の適切な運用で調整を図るとするもので、記述の「とどまる場合」とする点が判旨と逆であり、誤り。
自作の解説(憲法および最高裁判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁)
- 日産自動車事件(最判昭和56年3月24日民集35巻2号300頁)
- 昭和女子大事件(最判昭和49年7月19日民集28巻5号790頁)
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第2問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html