司法試験 短答式 2025 民法 第29問
不当利得に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.29])
- ア Aが、Bから横領した金銭をもって自己の債権者Cに対する弁済に充てた場合において、Cが、横領による金銭を受領するにつき善意であっても過失があったときは、Cによる金銭の取得は、Bに対する関係において法律上の原因がなく、不当利得となる。
- イ 悪意の受益者は、不法行為の要件を満たすときに限り、損失者に生じた損害の賠償をする義務を負う。
- ウ 債務者が、弁済期にない債務の弁済として給付をした場合において、その給付が錯誤によるものであるときは、給付したものの返還を請求することができる。
- エ 債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をし、債権者が善意で債権証書を滅失させたときは、その弁済をした者は、返還の請求をすることができない。
- オ 不法な原因のために給付がされた後、当事者間で給付したものの返還が合意されたときは、給付をした者は、その合意に基づき、給付したものの返還を請求することができる。
- 1 ア イ
- 2 ア ウ
- 3 イ エ
- 4 ウ オ
- 5 エ オ
正答 2(配点 2)
参考
正解は2(誤りはア・ウ)。ア:騙取・横領された金銭による弁済が不当利得となるのは、受領者が悪意又は重大な過失があるときであって(最判昭和49年9月26日)、善意で(軽)過失があるにすぎないときは法律上の原因を欠くとはいえないから、誤り。ウ:弁済期にない債務の弁済(期限前の弁済)をした者は、給付したものの返還を請求することができない(債務自体は存在するため)。錯誤によってしたときに返還を請求できるのは債権者が得た利益(中間利息)に限られる(民法706条)から、「給付したものの返還を請求することができる」とするのは誤り。イ・エ・オは正しい。
自作の解説(不当利得に関する規定および参照判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 騙取金銭による弁済と不当利得(最判昭和49年9月26日民集28巻6号1243頁)
出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第29問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html