司法試験 短答式 2025 憲法 第5問

表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.7]から[No.9])
  1. 憲法第21条第2項前段にいう「検閲」とは、公権力が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す。
  2. 表現物に対する税関検査は、表現の事前規制たる側面を有するものの、検査対象となる表現物は、一般に、国外においては既に発表済みで、輸入が禁止されるだけで、発表の機会が全面的に奪われてしまうものでもなく、また、税関は特に思想内容等を対象として規制することを独自の使命とするものではないから、憲法第21条第2項前段にいう「検閲」には当たらない。
  3. 公立図書館において、図書館資料の選択は職員の専門的な判断に委ねられており、職員が閲覧に供されている図書を著作者の思想や信条を理由に廃棄したとしても、当該著作者はその思想、意見等をその著作物によって公衆に伝達する機会を完全に奪われたわけではないから、その廃棄行為は国家賠償法上違法とはならない。
  1. 1 正しい
  2. 2 誤っている

正答 2,1,2(配点 3)

参考

正解はア=2、イ=1、ウ=2。ア:誤り。札幌税関検査事件(最大判昭和59年12月12日民集38巻12号1308頁)は「検閲」の主体を「行政権」と定義する。本記述は主体を「公権力」とする点で定義が広すぎ、誤り。イ:正しい。同事件は、税関検査は事前規制的側面はあるが、対象が国外で既に発表済みであることなどの理由から「検閲」には当たらないとした。ウ:誤り。船橋市西図書館事件(最判平成17年7月14日民集59巻6号1569頁)は、公立図書館の職員が独断的評価や個人的好みで蔵書を廃棄することは著作者の人格的利益を侵害し、国家賠償法上違法となり得るとした。

自作の解説(憲法第21条および参照判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第5問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html