呼吸

画面に描いてあるのは、筋肉の細胞のごく一部です。上の毛細血管からグルコースと酸素が入り、細胞の中で分解されて、二酸化炭素と水が出ていきます。そのあいだに取り出されたエネルギーで ADP にリン酸がつながり、ATP ができます。筋肉が縮むときに使われるのは、この ATP です。

グルコースはまず細胞質の解糖系で、炭素 3 個のピルビン酸 2 つに分かれます。ピルビン酸はミトコンドリアのマトリックスに入り、クエン酸回路を回るあいだに炭素をすべて二酸化炭素として手放します。グルコースから外された水素は、そのつど NAD+ と FAD が受け取り、NADH と FADH2 になって内膜へ運ばれます。

内膜では、NADH と FADH2 から渡された電子が、膜に埋まったタンパク質を順に移っていきます。電子が通るたびに H+ がマトリックスから膜間腔へくみ出され、最後に電子を受け取るのが、吸いこんだ酸素です。酸素は電子と H+ と結びついて水になります。膜間腔にたまった H+ が ATP 合成酵素を通ってマトリックスへ戻るとき、酵素が回転して ATP がつくられます。

ここでは、NADH 1 つで H+ が 10 個、FADH2 1 つで 6 個くみ出され、H+ が 4 個戻るごとに ATP が 1 つできるとして数えています。この数え方では、グルコース 1 つから得られる ATP は 30 から 32 ほどです。教科書にある 38 は、NADH 1 つから ATP が 3 つ、FADH2 1 つから 2 つできるとした、以前からの数え方によるものです。

酸素を減らすと、電子を最後に受け取る酸素が足りなくなり、電子伝達系の流れが止まります。NADH は電子を渡せないまま増えていき、NAD+ がなくなるとクエン酸回路も止まります。そのとき細胞質では、ピルビン酸が NADH の水素を受け取って乳酸になり、NAD+ が取り戻されます。解糖系だけは進み続けますが、得られる ATP はグルコース 1 つあたり 2 つに減ります。

キャンバスの場所を押すと、そこで起きていることの説明が右の列に出ます。酸素、運動の強さ、グルコースは、図の下の欄で変えられます。