発酵

キューネ発酵管の閉じた側を、酵母を混ぜたグルコース水溶液で満たして温めると、しばらくして閉じた側の上に気体がたまりはじめます。酵母がグルコースをエタノールと二酸化炭素に分解していて、出てきた二酸化炭素が泡になってのぼってくるからです。この反応がアルコール発酵で、酸素を使いません。

発酵管に水酸化ナトリウム水溶液を入れて気体と触れさせると、たまっていた気体が減ります。水酸化ナトリウムは二酸化炭素を吸収するので、気体の正体が二酸化炭素だったと確かめられます。

乳酸菌に替えると、液の中に乳酸は増えていきますが、気体はたまりません。乳酸発酵では、グルコースの炭素がどこにも出ていかず、すべて乳酸に残るからです。

どちらの発酵も、途中までは呼吸と同じ解糖系です。分かれるのはピルビン酸のあとです。解糖系で NAD+ が受け取った水素は、酸素がなければ電子伝達系へ渡せません。酵母はピルビン酸から二酸化炭素を外したアセトアルデヒドに、乳酸菌はピルビン酸そのものにこの水素を渡して、NADH を NAD+ に戻します。NAD+ が戻るので、解糖系はまたグルコースを受け入れられます。

得られる ATP は、グルコース 1 つあたり解糖系の 2 つだけです。呼吸の 30 前後と比べると 15 分の 1 ほどで、同じだけの ATP を得るには、はるかに多くのグルコースを分解することになります。

温度を上げると反応は速くなりますが、高くしすぎると酵素のタンパク質が形を失い、発酵が止まります。一度止まった酵素は、冷ましても元に戻りません。

発酵管や細胞の場所を押すと、その場所の説明が右の列に出ます。生物、液、温度は図の下の欄で選べます。