司法試験 短答式 2022 憲法 第9問

刑事手続上の権利に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.15]から[No.17])
  1. 憲法第31条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続にも及ぶと解すべき場合があり、その場合には行政処分の相手方に常に事前の告知、弁解、防御の機会を与える必要がある。
  2. 憲法第35条は、住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を規定しているが、この規定の保障対象には、住居、書類及び所持品に準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。
  3. 憲法第38条第1項は、自己が刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障するものであり、氏名の供述も、これによって自己が刑事上の責任を問われるおそれがあることから、原則として保障が及ぶ。
  1. 1 正しい
  2. 2 誤っている

正答 2,1,2(配点 3)

参考

正解はア=2、イ=1、ウ=2。ア:成田新法事件は、憲法31条の法定手続の保障が行政手続にも及ぶと解すべき場合があるとしつつ、行政手続は多種多様であるから、常に必ず事前の告知・弁解・防御の機会を与えることを必要とするものではなく、制限を受ける権利利益の内容・性質、公益の内容・程度・緊急性等を総合較量して決まるとした。「常に」とする点が誤り。イ:GPS捜査事件は、憲法35条の保障対象には「住居、書類及び所持品」に限られず、これらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれるとした。記述はその趣旨どおり。ウ:憲法38条1項が保障するのは、自己が刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことである。氏名は原則としてこの不利益な事項に当たらないというのが判例であり、氏名の供述に原則として保障が及ぶとする記述は誤り。

自作の解説(憲法第31条・第35条・第38条および最高裁判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和4年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第9問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00104.html