金本位制度は、通貨と金が直接交換できる制度です。管理通貨制度は、国が通貨の発行量などを管理できる制度です。
金本位制度
金本位制度は「金と紙幣を交換できる」と定めることで、その紙幣に価値をもたせる制度です。
※金と紙幣を交換することを兌換という。
金本位制度では、国の中央銀行が金を保有し、その金に基づいて発行された通貨を市場に供給します。通貨の供給量は、保有している金の量に比例して増減されます。そのため金本位制度では、通貨の価値(「本位貨幣」という)が金によって保証されます。
- 中央銀行が金を保有
- 金の量に基づいて通貨を市場に供給
- 通貨の価値が安定する
金本位制度をとる国の通貨の価値は、その国の金保有量によって決まります。国外に金が流出すると、通貨の価値が下がってインフレーションが起きます。
金本位制度は、通貨の価値を安定させることができますが、金の供給量に制限があるため、経済成長に制限をかける可能性があります。また、国際貿易においては、金の流出が生じることがあるため、貿易赤字や国内の経済不況を引き起こす可能性もあります。
金本位制度は、19 世紀後半から第一次世界大戦までの間に広く採用されました。しかし、第一次世界大戦後に多くの国が金本位制度を放棄し、現在では、多くの国が自由な為替レート制度を採用しています。
管理通貨制度
管理通貨制度とは、中央銀行が市場に流通する通貨の供給量や金利などを調整できる制度です。中央銀行はこの制度によってインフレーションやデフレーション、景気後退などの経済変動を抑制したり、促進したりします。
管理通貨制度では、通貨と金の兌換義務がありません。国は政策によって通貨の発行量を調節できます。
通貨の量を調整する方法に「量的緩和」があります。これは、中央銀行が市場から国債などの証券を購入することによって、市場に流通する通貨量を増やすものです。
管理通貨制度は、経済の安定化に貢献する一方、政治的または国際的な問題を引き起こすリスクがあります。政府が中央銀行に圧力をかけ、金利を人為的に低く抑えたり、通貨を過剰に発行したりできるためです。通貨の価値を意図的に低く抑えれば、他国との貿易摩擦を引き起こすこともありえます。
金本位制度のように通貨の価値をはかる絶対的な指標はありませんが、ドルと円、ドルとユーロといった為替相場で相対的に高いか安いかを判断できます。
日本の金本位制度
1897年、日本は1円=0.75gとする金本位制度を定め、1899年に日本銀行が日本銀行兌換紙幣を発行しました。
1920年代に景気が悪くなると、1931年に金と紙幣の兌換が実質的に禁止され、日本の金本位制度は終わりました。