国内総生産 GDP の三面等価の原則とは、経済活動を測定にあたって、3 つの方法を用いて同じ値が得られるという原則です。GDP は 3 つの側面から測定されます。
- 生産 … 国内で生み出された財やサービスの生産価値を合計したもの
- 支出 … 消費支出、投資、政府支出、輸出などの支出を合計したもの
- 所得 … 国内で生み出された所得(賃金、利益、家賃、利子など)を合計したもの
生産から計算した GDP は、支出や所得から計算した GDP と同じになります。少し不思議ですね。しかしどの面から測定しても同じ値が得られるからこそ、GDP は信用できる値になるのです。
生産から計算する GDP
国内で生産された財やサービスの付加価値を合計すると GDP になります。
GDP = A 社の付加価値 + B 社の付加価値 + ... + X さんの付加価値 + Y さんの付加価値 + ...
では付加価値とはなんでしょうか?
あなたはクレープ屋だとします。卵とかいろいろな材料を 100 円で買い、チョコバナナクレープを 300 円で売ったとします。この場合、付加価値は 200 円です。
ざっくりいうと、利益が付加価値になります。
この付加価値をすべての会社、すべての個人にわたって足すと GDP になります(ざっくり言って)。
☆利益が付加価値
☆付加価値の合計が GDP
つまり、対価もなくサービスしたり、ものを作ってあげたりしたら、GDP は増えません。GDP を増やすには、物やサービスの価格を上げて付加価値を増やす必要がありますね。
支出から計算する GDP
消費者の購入、投資、政府の支出などを足しても GDP を計算できます。
GDP = 個人消費支出 + 投資支出 + 政府支出 + 純輸出(輸出 - 輸入)
個人消費支出
国内の個人が購入する財やサービスの総額。例えば、私たちが食べる吉野家の牛丼とかがあてはまる。
投資支出
企業が生産するために買う機械や設備など。
政府支出
公共事業や社会保障、国防費などの支出。公園をつくる費用はここにあてはまる。
純輸出
輸出から輸入を引いた額です。
英語でも書いてみます。
GDP = C + I + G + (X−M)
C = Consumer spending
I = Investor spending
G = Government spending
X = exports
M = imports
C + I + G + (X−M)
という式は世界共通です。高校経済では X−M の部分を無視してもいいかもしれない。
支出面から計算する GDP の式を見ると、GDP を増やすためになにをすればいいかわかります。
- 私たち個人がいっぱい買う
- 会社が機械とか部品とか買いまくる
- 政府がめっちゃ公共事業する
- 輸出しまくって、輸入を少なくする
一人ひとりの購買力が増えれば GDP は増えます。GDP は私たちの購入意欲にかかっていると言っても過言ではありません。
分配から計算する GDP
一部の参考書は所得を「分配」と呼んでいますが、分配と所得は同じような意味と考えてだいじょうぶ。所得は「どうやって得るか」で賃金、財産所得、企業所得に分けられます。
- 賃金
- 財産所得
- 企業所得
賃金は労働の対価として労働者が得る所得のこと。
財産所得は利子や配当であり、労働でなく資産によって生まれます。
企業所得は企業の所得。
日本においては所得の大半は賃金であり、財産所得は数パーセントにとどまります。
英語
日本語 | 英語 |
---|---|
生産 | production |
支出 | expenditure |
所得 | income |
第○次産業という産業区分を three-sector modelという。
日本語 | 英語 |
---|---|
第一次産業 | primary sector of the economy |
第二次産業 | secondary sector of the economy |
第三次産業 | tertiary sector of the economy |
民間最終消費支出
household final consumption expenditure (HFCE)
政府最終消費支出
government final consumption expenditure (GFCE)