命題とは、何かを主張する文のことです。例えば「雨が降っている」といった文を命題といいます。もちろん といった数学的な文も命題です。
「埼玉県は海に接している」も命題です。しかしこの「埼玉県は海に接している」という命題は誤り(これからは偽といいます)。なぜなら埼玉県は海に接していないからです。このように命題は正しいものと誤りのものがあり、それぞれ「真の命題」「偽の命題」といいます。
問題
次の命題の真偽を確かめなさい。
山口県は中国地方にある。
織田信長の家臣に武田信玄がいた。
日本とアメリカの間に大西洋がある。
の絶対値は
である。
解答
真
偽
偽
真
偽
偽
問題
次の命題の真偽を調べなさい。
整数
について
整数
について
が
の倍数ならば
は偶数
解答
真
偽
偽
真
真
真
このように命題は基本的に真偽をつけることができます。
ここで の
がなぜ偽であるか考えてみます。
例えば の時、
は成り立ちますが、
は当然成り立ちません。このように特定のケースを見つけて命題が偽であると主張できる場合があります。
これを反証といい、この特定のケースを反例といいます。ここでは が反例となります。
問題
次の命題はすべて偽である。それぞれについて反例をあげなさい。
かつ
は
の倍数
は
の倍数
は
の倍数
は奇数
解答
命題の否定
命題はその否定を作ることができます。例えば「雨が降っている」の否定は「雨が降っていない」に、 の否定は
になります。
数式を否定する時はイコールをノットイコールにします。また の否定は
となります。
問題
次の命題の否定を作りなさい。
私はペンを持っている。
犬は哺乳類でない。
の解は
のみである。
解答
私はペンを持っていない。
犬は哺乳類である。
の解は
のみとは限らない。
『かつ』『または』が入っている命題の否定
続いて「 かつ
」というように and が入っている命題の否定について考えてみます。
結論としてこの命題の否定は
または
となります。つまり個別の文を否定にして、「かつ」を「または」(and を or)にします。逆に「または」の否定は「かつ」になります。
かつ → または
または → かつ
問題
次の命題の否定を作りなさい。
私はペンを持っている、かつ、あなたはパンを食べていない。
犬は哺乳類でない、または、猫は魚類でない。
または
かつ
または
かつ
解答
私はペンを持っていない、または、あなたはパンを食べている。
犬は哺乳類である、かつ、猫は魚類である。
かつ
または
かつ
または
「すべて」「ある」が入っている命題の否定
「すべてのカラスは黒い」という命題を考えてみます。「すべて」という言葉に注目してください。この命題の否定は「あるカラスは黒くない」となります。「黒い」が「黒くない」に変わるだけでなく、「すべて」が「ある」に変わってしまうのです。
逆に「ある」の否定は「すべて」になります。例えば「ある犬は白い」という命題の否定は「すべての犬は白くない」となります。
問題
次の命題の否定をつくりなさい。
すべての星には水がある。
ある犬は猫と喧嘩しない。
すべての数は
以上である。
すべての三角形は三辺が等しい。
すべての数について、その二乗は
以上である。
すべての数
について、
は
以上である。
解答
ある星には水がない。
すべての犬は猫と喧嘩する。
ある数は
未満である。
ある三角形は三辺が等しくない。
ある数について、その二乗は
未満である。
ある数
について、
は
未満である。