生物が子を作ることを生殖という。自然界の生殖は受精をしない無性生殖と、受精をする有性生殖に分けられる。
例えばアメーバ、イソギンチャク、サツマイモなどは無性生殖、人間、犬、カエル、アブラナなどは有性生殖によって子孫を増やす。
無性生殖
アメーバなどの無性生殖の生物は、細胞が分裂するように、その生物自体が分裂して増える。またサツマイモはサツマイモから新しいサツマイモが生まれる。サツマイモのように自分の体の一部が新しい子孫になることを栄養生殖という。
中学生物ではアメーバ系とサツマイモ系の無性生殖を習う(アメーバ系、サツマイモ系という言葉はない。当ページオリジナルの言葉)。
- アメーバ系 … 分裂して増える
- サツマイモ系 … 自分の一部が子になる
アメーバ系はアメーバ、ミドリムシ、ゾウリムシ、イソギンチャク、クラゲなど。サツマイモ系はサツマイモ、ジャガイモ、サトイモ。イモはだいたいサツマイモ系(栄養生殖)。
有性生殖と有性生殖の例
多くの動物と被子植物は有性生殖によって子をつくる。オスとメス(おしべとめしべ)という性の区別があり、オスとメス(おしべとめしべ)の受精によって子が生まれる。動物はオスとメス、被子植物はおしべとめしべという性がある。
生殖にかかわる細胞を生殖細胞という。生殖細胞は皮膚、筋肉、骨、神経といったふつうの細胞と異なる。細胞分裂と染色体の複製で触れているように、細胞は体細胞と生殖細胞に分けられる。筋肉や骨などは体細胞である。
生殖細胞はさらにオス、メス、おしべ、めしべで異なる。精子と卵子、精細胞と卵細胞がくっついて一つになることを受精、合体後の細胞を受精卵という。
生物 | 生物細胞 |
---|---|
動物のオス | 精子 |
動物のメス | 卵子 |
被子植物のおしべ | 精細胞 |
被子植物のめしべ | 卵細胞 |
受精卵と発生
精子と卵子、あるいは精細胞と卵細胞がくっついて子になるまでの過程は以下のようにまとめられる。
精子+卵子(精細胞+卵細胞)
↓
受精卵
↓
受精卵の細胞分裂
↓
胚
↓
子
受精卵は細胞分裂によって細胞の数を増やし、やがて胚になる。胚はいわば「子の原型」である。胚はすでに体のつくりをある程度もっている。受精卵が胚となり、やがて子になっていく過程を発生という。
遺伝子
有性生殖の子(受精卵)の染色体は、半分は父(オス)由来、半分は母(メス)由来である。両親の染色体を半分ずつもらっていることになる。
一方、無性生殖は父と母というものがなく、自分と親の染色体は同一である。
- 有性生殖 … 父と母から染色体を半分ずつもらう
- 無性生殖 … 親からすべての染色体をもらう
有性生殖は父と母から染色体を受け継ぐため、父のまったく同じ子ができる、あるいは母とまったく同じ子ができるということはない。しかし無性生殖は親とほとんどまったく同じ子ができる。サツマイモを見ればわかるように、小さいサツマイモからある日突然ものすごく大きいサツマイモができるということはほとんどない。
すなわち無性生殖においては、親の形質と子の形質は同じになる。