あしびきの
山鳥の尾の
しだり尾の
ながながし夜を
ひとりかも寝む
現代語訳
山鳥の
たれ下がっている尾のように
長い長い夜を
ひとりで寝ることになるのかなあ
注 「あしびきの」は枕詞で訳さない
文法
- あしびきの…山にかかる枕詞
- 山鳥…キジ科の鳥
- しだり尾…長くたれ下がっている尾
- ながながし…とても長い
上の句先頭「あしびきの」は枕詞で訳さない。しだり尾、すなわち長い尾をもっているのはオスであり、歌の一人称が「男」だとわかります。
また「ひとりかも寝む」は次のように品詞分解します。
ひとり
か…係助詞
も…係助詞
寝…ナ行下二段活用「寝」未然形
む…助動詞(推量)「む」連体形
係助詞「か」が係り結びの法則によって文末の推量「む」を連体形にしています。
作者
柿本人麻呂(七世紀後半~八世紀前半)