カルシウム(Ca)は原子番号20、2族4周期に属するアルカリ土類金属の元素であり、炎色反応は橙(橙赤)を呈する。常温で銀色の固体である。カルシウムは常温で水と反応し、水溶液は強塩基性となる(Ca(OH)2)。
項目 | Ca |
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原子番号 | 20 |
族 | 2 |
周期 | 4 |
電子殻 | 2 8 8 2 |
原子量 | 40 |
分類 | 典型金属 アルカリ土類金属 |
炎色反応 | 橙赤 |
Ca(OH)2
Ca(OH)2(水酸化カルシウム)は消石灰ともいわれる。水酸化カルシウムは強塩基性で、二酸化炭素を入れると白く濁る。濁った状態でさらに二酸化炭素を入れると濁りが消える。すなわち沈殿が消える。
濁る反応
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
濁りが消える反応
CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2
CaCO3
CaCO3(炭酸カルシウム)は水に溶けにくい。しかし上の式にあるように二酸化炭素が豊富な状態では水と反応し、ゆるやかにCa(HCO3)2を形成する。これは鍾乳洞の原理となっている。
CaO
CaO(酸化カルシウム)は生石灰ともいわれる。炭酸カルシウムを高温で加熱すると生じる。
CaCO3 → CaO + CO2
炭酸カルシウムを加熱すると酸化カルシウムと二酸化炭素に分解する。この酸化カルシウムに水を加えると水酸化カルシウムになる。
CaO + H2O → Ca(OH)2
CaSO4
CaSO4(硫酸カルシウム)は水和物がよく出題される。焼きセッコウの水分子の係数は2分の1。
CaSO4・2H2O セッコウ(石膏)
CaSO4・1/2H2O 焼きセッコウ
焼きセッコウに水を加えるとセッコウになる。焼きセッコウはドロドロとしているが、水を加えると固まる。
硫酸カルシウムは水にあまり溶けない。硫酸カルシウムは硫酸バリウムなどの硫酸塩と同じく白い。
CaC2
CaC2(炭化カルシウム)はカーバイド(カルシウムカーバイド)ともいわれる。炭化カルシウムは酸化カルシウム(生石灰、CaO)に炭素を加えてつくる。
CaO + 3C → CaC2 + CO
酸化カルシウムと炭素で炭化カルシウムと一酸化炭素ができる。また炭化カルシウムに水を加えるとアセチレンができる。
CaC2 + 2H2O → C2H2 + Ca(OH)2
Ca3(PO4)2
Ca3(PO4)2(リン酸カルシウム)は肥料によく使われ、骨はリン酸カルシウムの一種である。
CaCl2
CaCl2(塩化カルシウム)はアンモニアソーダ法(ソルベー法)によって合成される。その水和物は肥料として使われる。
アンモニアソーダ法
カルシウムの化合物はアンモニアソーダ法においていくつか出てくる。アンモニアソーダ法は以下の反応のまとめである。
- NaCl + NH3 + CO2 + H2O → NH4Cl + NaHCO3
- CaCO3 → CaO + CO2
- 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
- CaO + H2O → Ca(OH)2
- NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2O + 2NH3