そもそも力ってなんだろうか? 力について考える前に、力をかけるということを考えてみよう。
力をかけるということは、あなたがボタンを押したり、ボールを蹴ったりすること。押すからボタンは押されるし、蹴られるからボールは飛ぶ。
つまり力とは「対象となる物体を動かすもの」と考えられます。
空気は肌を押している
私たちは窒素と酸素を含む空気とともに生活しています。空気の分子(酸素や窒素などの分子、物質の最小単位)は普通の顕微鏡では観察できないほど小さな物質からできていますが、小さくとも量は桁外れに多い。
空気の分子はあっちこっち動いていますが、その中で私たちの肌をつんつんと突っついています。あまりに小さく、あまりに軽いため、私たちはいちいち「いてて、また酸素分子がぶつかってきた!」とならないわけです。
しかし一つの部屋の中の空気をとっても分子の数は桁外れに多く、1,000,000,000,000,000,000,000,000個はあります。この膨大な数の分子がとんでもないスピードでちくちくと私たちの肌を突っつくのです。かといって私たちは痛みを感じません。
それどころか人間の肌や体内はこれだけの分子から常に突っつかれることを前提に作られているのです。つまり人間の生体は空気からの「力」に耐えるだけの構造をあらかじめ持っています。
力は「対象となる物体を動かすもの」といいましたが、実際の私たちは空気から力を押されても動いていないし、へこまないし、傷つきません。それは肌の下から同じような力が外向きに働いているからです。中から働く力と空気から押される力がちょうどつりあって、プラスマイナスゼロで肌は動かないのですね。
・力は対象を動かすもの
・空気はあっちこっちに力をかけている
・空気は肌を押している
・肌は空気から押される力と中からの力がつりあって動かない
空気が1平方メートルの平面を押す力を圧力という
圧力とは、空気が1平方メートルの平面を押す力をいいます。圧力は要するに力です。ただし力をかけるものが空気で、かけられる相手が1平方メートルの平面であるというだけにすぎません。
圧力とは力である
- 力をかけるもの … 空気
- 力をかけられるもの … 1平方メートルの平面
だから2平方メートルの平面にかかる空気の力は圧力とは言わないし、曲がった面にかかる空気の力も圧力とは言いません。もし2平方メートルの平面にかかる空気の力をどうしても測りたいという時は、その空気の力を2で割りましょう。3平方メートルの平面だったら3で割り、10平方メートルの平面だったら10で割ります。
もうわかってきたと思いますが、圧力とは、力を面積で割った値です。これを式で表すとこうなります。
P = F / S
P : 圧力
F : 力
S : 面積
となります。