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2 直線が交わる角度は傾きだけで決まる(tan の加法定理)

と のなす角は です。切片の と は一度も使いません。

2 直線 、 のなす角を とすると、傾きだけで次の式が決まる。

もとは tan の加法定理です[1]。角の引き算が、傾きの分数ひとつに化ける。

傾きは x 軸となす角のタンジェント

直線 が 軸の正の向きとなす角を とする。このとき が成り立つ。

理由は傾きの定義そのものです。 が 増えると は 増えるので、縦と横の比がちょうど になる。

切片 はこの比に効きません。直線を上下へ平行移動しても、 軸に対する傾きは変わらないため。

角のほうを主役にすると、 と書けます。傾きと角は同じ情報を別の形で持っている。

2 直線のなす角の問題では、まず 傾きを角に翻訳する ところから始めます。

、 と読み替えれば、あとは角の引き算になる。答えを出す段階でまた傾きへ戻します。

なす角は 2 つある

2 直線が交わると、角は 4 つできます。向かい合う 2 つずつが等しいので、実際には 2 種類。

この 2 つは足すと になります。 と 、 と という組み合わせ。

ふつう「なす角」と言えば、小さいほう、つまり 以下の角を指します。

公式に絶対値がついているのは、この小さいほうを選ぶためです。符号を捨てて鋭角に寄せている。

公式を導く

、 と置きます。求めたい角は と の差。

tan の加法定理の引き算の形を当てます[2]。

右辺に 、 を入れると になる。

が鈍角のときは、この値が負になります。求めたいのは鋭角なので、絶対値をつけて向きをそろえる。

が なら は で、絶対値は 。 と読めます。

と一致しました。絶対値が、鈍角を鋭角へ折り返す役をしている。

例:45 度になる組み合わせ

冒頭の と を確かめます。、。

分子は 。分母は 。

で は鋭角なので、 と決まります。

分母が負になっても慌てません。絶対値がついているので、符号は最後にまとめて消える。

例:30 度になる組み合わせ

と を比べます。それぞれ と の直線。

、 を入れます。分子は 。

分母は 。

。 を素直に引いた値と合っています。

分母が 0 になるとき

、つまり のときは、公式の分数が作れません。

これは が定義できない場合、すなわち を意味する。

傾きの積が なら垂直。中学から使ってきた条件が、公式の分母に現れます。

と なら です。分数を作る前に垂直と判断して終わり。

分母が 0 でない

を計算する。値から を読む

分母が 0

なので 。分数は作らない

例:45 度をなす直線を探す

と をなす直線の傾き を求めます。 なので、次の式を解く。

絶対値を外すと と の 2 通りになります。

前者は から 、。

後者は から です。

答えは と の 2 つ。もとの直線を挟んで両側に ずつ開くので、2 本になります。

この 2 本どうしの傾きの積は で、互いに垂直になっている。

一般形の直線で使う

の形で与えられたら、傾きに直してから当てます。 なら傾きは 。

は なので傾き 。 は で傾き 。

積が なので、分母は 。

分子は です。。

になります。きれいな角にはならないので、 のまま答える。

のときは直線が縦向きです。傾きが定義できないので、公式ではなく図で処理する。

つまずきやすいところ

分子を と書いても答えは同じです。絶対値の中なので、引く向きは結果に響かない。

分母は違います。 であって ではない。引き算の加法定理では、分母の符号がいれかわります。

もう一つは、鈍角のまま答えてしまう形です。 が負になったら、まだ絶対値を外していない。

角度を聞かれているのか の値を聞かれているのかも見ます。 のような角は、値で答えるほかない。

と のなす角はどれですか。

__RESULT__

、 です。分子は 、分母は になります。 なので です。傾きの積が で ではないので、垂直ではありません。

垂直の判定も、同じ式の分母を見れば済みます。

と垂直な直線の傾きはどれですか。

__RESULT__

垂直になるのは のときです。 から と決まります。このとき公式の分母 が になり、 が定義できない、つまり という読み方になります。

傾きを角に翻訳し、差をとり、絶対値で鋭角へ戻す。

参考

É. Bouchet. Trigonométrie, Cours de PCSI, Proposition 1.11(tan の加法定理と定義される条件).
Sum and Difference Identities. Algebra and Trigonometry 2e, OpenStax.
$y = 2x + 1$ と $y = -3x + 4$ のなす角は $45^\circ$ で、切片の $1$ と $4$ は一度も使いません。傾きを $a$、$c$ とすれば $\tan\theta = \left| \dfrac{a-c}{1+ac} \right|$ だけで決まります。もとは tan の加法定理。交点にできる角は $2$ 種類あり、絶対値は鈍角を鋭角へ折り返す役をします。分母が $0$ になるのは $ac = -1$ のとき、つまり垂直。$45^\circ$ をなす直線の傾きが $\dfrac{1}{3}$ と $-3$ の 2 本出る理由と、$ax+by+c=0$ の形から傾きに直す手順まで扱います。