接触法、オストワルト法、ハーバー・ボッシュ法、アンモニアソーダ法はそれぞれ硫酸、硝酸、アンモニア、炭酸ナトリウムをつくる製法です。接触法とオストワルト法は触媒を覚えましょう。カッコ内は触媒です。
- 接触法 … 硫酸(酸化バナジウム)
- オストワルト法 … 硝酸(白金)
- ハーバー・ボッシュ法 … アンモニア
- アンモニアソーダ法 … 炭酸ナトリウム
アンモニアソーダ法はいくつかの反応の組み合わせからなり、難しく覚えにくい。最初は一つ一つを追って覚えるよりも全体の反応をまとめた反応を理解する。結論は、食塩と炭酸カルシウムから炭酸ナトリウムと塩化カルシウムをつくる反応であり、途中の反応式に出てくるアンモニアと二酸化炭素はリサイクルされます。
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接触法
接触法は硫黄から硫酸を作る製法で、3段階の化学反応からなります。酸化バナジウムが触媒です。
S + O2 → SO2
2SO2 + O2 → 2SO3
SO3 + H2O → H2SO4
それぞれの反応の意味は次のとおり。
- 硫黄を加熱して二酸化硫黄をつくる
- 二酸化硫黄を酸化バナジウム(Ⅴ)触媒のもと酸化して三酸化硫黄をつくる
- 三酸化硫黄を濃硫酸に入れて発煙硫酸にした後、発煙硫酸に希硫酸を入れて濃硫酸をつくる。反応式の水は濃硫酸に含まれる水。
※酸化バナジウム(Ⅴ)…V2O5
オストワルト法
オストワルト法はアンモニアから硝酸を作る製法で、白金を触媒とします。
4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O
2NO + O2 → 2NO2
3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
それぞれの反応の意味は次のとおり。
- アンモニアを白金触媒のもと酸化させて一酸化窒素をつくる
- 一酸化窒素を酸化して二酸化窒素をつくる
- 二酸化窒素と水を反応させて硝酸をつくる
ハーバー・ボッシュ法
ハーバー・ボッシュ法は窒素と水素からアンモニアを作る、工学的に重要な製法です。
N2 + 3H2 → 2NH3
高圧条件下で窒素と水素を反応させます。この2つは常圧下ではほとんど反応しません。
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アンモニアソーダ法
アンモニアソーダ法は塩化ナトリウムと炭酸カルシウムから、炭酸ナトリウムと塩化カルシウムを作る製法です。途中でアンモニアなどが生じますが、リサイクルされます。アンモニアソーダ法は大学受験で最も重要な製法の一つです。
反応のまとめ
2NaCl + CaCO3 → Na2CO3 + CaCl2
反応の第一段階
NaCl + NH3 + CO2 + H2O → NH4Cl + NaHCO3
CaCO3 → CaO + CO2
反応の第二段階
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
CaO + H2O → Ca(OH)2
反応の第三段階
NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2O + 2NH3
反応の第二段階と第三段階で炭酸ナトリウムと塩化カルシウムができます。途中経過の五つの式をすべて足すと、最初の「反応のまとめ」になり、アンモニアと二酸化炭素と水が消去される。消去されるということは(理論上)完全にリサイクルされていることを意味します。