小学校で習う気体の性質
気体は目に見えない物質ですが、身近なところに存在します。例えば私たちは常に空気を吸って、吐いています。これは体内に空気中の酸素をとりこむためです。中学受験では酸素を中心に、水素、二酸化炭素、塩化水素、アンモニアの 5 つがよく出ます。
気体 | 色 | 臭い | 空気と比べた重さ | 水に溶けるか | 捕集法 |
---|---|---|---|---|---|
水素 | 無色 | なし | 軽い | 溶けない | 水上置換 |
酸素 | 無色 | なし | ほぼ同じ | 溶けない | 水上置換 |
二酸化炭素 | 無色 | なし | 重い | あまり溶けない | 下方・水上置換 |
塩化水素 | 無色 | 刺激臭 | 重い | よく溶ける | 下方置換 |
アンモニア | 無色 | 刺激臭 | 軽い | よく溶ける | 上方置換 |
私たちは酸素を吸って、二酸化炭素を吐いています。逆に植物は光合成によって二酸化炭素を吸って、酸素を吐いています。植物があるおかげで酸素がなくならないのです。
塩化水素は刺激臭で毒性があり、危険な気体です。そのため実験で扱う時はよく注意しなければいけません。塩化水素が水に溶けたものを塩酸といいます。塩酸は強い酸性で、BTB 溶液を黄色に変えます。
気体の集め方は次のとおり。
- 水に溶けない気体は水上置換
- 空気より軽い気体は上方置換
- 空気より重い気体は下方置換
中学校で習う気体の性質
中学校ではさらに塩素、硫化水素、二酸化硫黄などが加わります。
名称 | 化学式 | 色 | 臭い | 空気と比べた重さ | 水溶性 | 捕集法 |
---|---|---|---|---|---|---|
水素 | H2 | 無色 | なし | 軽い | 溶けない | 水上置換 |
酸素 | O2 | 無色 | なし | ほぼ同じ | 溶けない | 水上置換 |
二酸化炭素 | CO2 | 無色 | なし | 重い | あまり溶けない | 下方・水上置換 |
塩素 | Cl2 | 黄緑色 | 刺激臭 | 重い | 溶ける | 下方置換 |
塩化水素 | HCl | 無色 | 刺激臭 | 重い | よく溶ける | 下方置換 |
硫化水素 | H2S | 無色 | 腐乱臭 | 重い | 溶ける | 下方置換 |
二酸化硫黄 | SO2 | 無色 | 刺激臭 | 重い | よく溶ける | 下方置換 |
アンモニア | NH3 | 無色 | 刺激臭 | 軽い | よく溶ける | 上方置換 |
硫化水素のみ臭いが刺激臭でなく腐乱臭となっています。よく「卵の腐ったような臭い」といわれます。
捕集法については上で述べたように水に溶けるか、空気より軽いか重いかで区別しますが、以下のように考えることもできます。
- ほとんどは下方置換
- 上方置換はアンモニアのみ
- 水上置換は水素、酸素、二酸化炭素のみ
くわしくは気体の集め方(水上置換・上方置換・下方置換)を参照。
高校で習う気体の性質
気体 | 色 | 臭い | 空気と比べた重さ | 水溶性 | 捕集法 |
---|---|---|---|---|---|
H2 | 無色 | なし | 軽い | 溶けない | 水上置換 |
O2 | 無色 | なし | ほぼ同じ | 溶けない | 水上置換 |
O3 | 淡青色 | 特異臭 | 重い | あまり溶けない | 無声放電 |
N2 | 無色 | なし | ほぼ同じ | 溶けない | 水上置換 |
CO | 無色 | なし | ほぼ同じ | 溶けない | 水上置換 |
CO2 | 無色 | なし | 重い | あまり溶けない(弱酸性) | 下方・水上置換 |
Cl2 | 黄緑色 | 刺激臭 | 重い | 溶ける(酸性) | 下方置換 |
HCl | 無色 | 刺激臭 | 重い | よく溶ける(強酸性) | 下方置換 |
H2S | 無色 | 腐乱臭 | 重い | 溶ける(弱酸性) | 下方置換 |
SO2 | 無色 | 刺激臭 | 重い | よく溶ける(酸性) | 下方置換 |
NO | 無色 | なし | ほぼ同じ | 溶けない | 水上置換 |
NO2 | 赤褐色 | 刺激臭 | 重い | よく溶ける(強酸性) | 下方置換 |
HF | 無色 | 刺激臭 | 軽い | よく溶ける(弱酸性) | 下方置換 |
NH3 | 無色 | 刺激臭 | 軽い | よく溶ける(弱塩基性) | 上方置換 |
フッ化水素は軽いが、水素結合によって二量体を形成するため下方置換で捕集する。またフッ化水素は他のハロゲン化水素と異なり、水に溶けたものは弱酸性である。これは水素結合によって電離しにくいからである。
酸素は無色だが、オゾンは有色で、捕集法も無声放電と他と異なる。オゾンは酸化力が強く、消毒などに使われている。
硫化水素と二酸化硫黄は代表的な還元剤であり、両者が反応すると硫黄が生じる。
SO2 + H2S → 2H2O + 3S
製法
化学式 | 製法 |
---|---|
H2 | Zn + H2SO4 → ZnSO4 + H2 |
O2 | 2H2O2 → 2H2O + O2 |
O3 | 3O2 → 2O3 |
N2 | NH4 → N2 + 2H2O |
CO | HCOOH → H2O + CO |
CO2 | CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2 |
Cl2 | CaCl(ClO)・H2O + 2HCl → CaCl2 + 2H2O + Cl2 |
HCl | NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl |
H2S | FeS + H2SO4 → FeSO4 + H2S |
SO2 | Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + 2H2O + SO2 |
NO | 3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)2 + 4H2O + 2NO |
NO2 | Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2H2O + 2NO2 |
HF | CaF2 + H2SO4 → CaSO4 + 2HF |
NH3 | 2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O |