ダーウィンは『種の起源』を著し、生物の適者生存や自然選択などの進化論を説いた。同じ頃、スペンサーは evolution of complexity (複雑への進化)という思想を中心に、社会の進化を説いた。
二人は進化という思想をほぼ同時期に、生物と社会という別の角度から研究した。
ダーウィン
著書:「種の起源」
思想:自然選択、適者生存
ダーウィンの進化論の根幹は自然選択である。この理論は最初から公に肯定されたわけではなく、多くの正当な支持を受けるまでに時間がかかった。
自然選択とは、環境に弱い者はやがて滅び、環境に強い者だけが生き残るという競争原理である。ダーウィンは自然選択によって生物は進化するとした。自然選択は自然淘汰とも言われる。
またダーウィンは進化にあたって自然選択の一つである性選択も唱えている。性選択とは、メス(またはオス)はたくさんいるオス(メス)から配偶者を選ぶことで、次の世代の環境適応力を強化するという考え。多くの動物は、メスがオスを選ぶ。
ダーウィンの考えは生物学のみならず哲学、宗教観、社会・経済思想にまで影響を与えるが、ダーウィン自身それらについて思想を深めていた。
スペンサー

著書:「総合哲学体系」
思想:社会進化論、社会有機体説
スペンサーはコントの社会有機体説を発展させて、社会は個人が有機的に集まった一つの個体であり、進化すると考えた。
スペンサーは、自由競争は社会の進化に必要であり、政府の規制は最小限に抑えるべきとした。この点でスペンサーは資本主義の制度を認めていると考えられる。