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平均変化率から導関数まで〜微分の用語がつながる順番

平均変化率、微分係数、導関数。この 3 つは別々のものではなく、同じ計算を 3 段階で呼び分けた名前です。

区間に対して 1 つの数が出るのが平均変化率。点に対して 1 つの数が出るのが微分係数。 を入れると微分係数を返す関数が導関数。

数がだんだん減って、最後に関数へ戻る。この流れをつかむと、問題文の言葉づかいで迷わなくなります。

3 段の関係

で、3 つを順に出します。

区間 の平均変化率は です。区間を決めないと計算できません。

区間の右端を にして を へ送ると、 での微分係数 が出ます。点だけで決まる値になりました。

同じことを でやると 。 を に書き直した が導関数です[1]。

区間で決まる値

点で決まる値

どの点でも答える関数

右へ行くほど情報が増えています。導関数を 1 つ持っていれば、どの点の微分係数もすぐ出せる。

記号の読み方

導関数は と書きます。 にダッシュを付けた形で、エフダッシュと読む。

のときは とも書きます。同じものを指す別の書き方です[2]。

における微分係数。1 つの数
導関数。 に値を入れると微分係数が出る
のときの導関数。 と同じ
導関数。 が につれてどう変わるかを表す
を微分したもの、という書き方

は分数に見えますが、割り算の式ではありません。 を で割った、という読み方はしないでおきます。

導関数を求めることを「微分する」といいます。 を微分すると 、という言い方をする。

例:3 つの言葉で言い直す

を使い、同じ内容を 3 通りに書きます。

区間 の平均変化率は です。

での微分係数は 。導関数が なので になります。

平均変化率も微分係数も でしたが、指しているものは違います。前者は 2 点を結んだ線が水平だということ、後者は での接線が水平だということ。

区間 の平均変化率が でも、途中で値が動いていないとは限らない。

と がたまたま等しいだけで、あいだでは下がって上がっている。

導関数はグラフから読める

もとのグラフの各点で接線の傾きを読み、その値を縦にとって並べると導関数のグラフになります[3]。

上りが急なところでは導関数の値が大きく、下りでは負。水平なところで になります。

赤い直線が水平になる 2 か所で、緑の点が横軸に触れます。傾きが の場所と導関数の が対応している。

上下に並べて見る

もとのグラフと導関数のグラフを縦に並べると、対応がはっきりします。

上のグラフの山と谷が、下のグラフでは横軸との交点になります。位置ではなく勢いを描いたグラフなので、形はまったく変わる。

例:いくつかの関数で並べる

3 つの言葉をまとめて出す練習です。区間はすべて にそろえます。

関数 の平均変化率導関数

の平均変化率 は、区間の中点 での微分係数 と一致しています。

の は のどこかの値と一致し、 を解くと 。中点よりやや右です。

は導関数が定数なので、区間をどこにとっても になります。

微分係数がなくても平均変化率は出る

平均変化率は引き算と割り算だけなので、どんな関数でも計算できます。極限を使いません。

微分係数のほうは極限が要るので、行き先が定まらない点では出せない。折れ目のある関数がそれにあたります。

平均変化率は 2 点の値さえあれば出る。
微分係数は極限が要るので、出ない点がありうる。
導関数は微分係数が出る点をすべて集めた関数。
数学 II で扱う多項式は、どの点でも微分できる。

だから教科書の問題では、平均変化率と微分係数のどちらを聞かれても答えが出ます。区別が要るのは、値そのものではなく何に対する値かという点です。

について、正しい組み合わせはどれですか。

  • 区間 の平均変化率は 、 は
  • 区間 の平均変化率は 、 は
  • どちらも
__RESULT__

平均変化率は 、導関数が なので です。 は の値にあたります。

言葉が 3 つに分かれているのは、区間の話と点の話と関数の話を混ぜないためです。どれを聞かれているかで、答えの形も変わります。

参考文献

3.1 Defining the Derivative. Calculus Volume 1, OpenStax.
Derivative. Encyclopedia of Mathematics.
David Guichard. *2.1: The Slope of a Function*/02:_Instantaneous_Rate_of_Change-_The_Derivative/2.01:_The_Slope_of_a_Function). Calculus, Whitman College.
平均変化率は区間に対する数、微分係数は点に対する数、導関数は $x$ を入れると微分係数を返す関数です。$x^2$ なら区間 $[3, 5]$ で 8、$x = 3$ で 6、そして $2x$。右へ行くほど答えられる範囲が広がる。$f'(a)$、$f'(x)$、$y'$、$\dfrac{dy}{dx}$ の使い分けも並べました。もとのグラフで接線の傾きを読み、その値を縦にとって並べると導関数のグラフになります。$x^3 - 3x$ の山と谷が $3x^2 - 3$ では横軸との交点に変わる。平均変化率が 0 でも途中で値が動いていないとは限りません。