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なぜ x の n 乗を微分すると n が前に出るのか|高校数学2の微分

を微分すると になります。肩に乗っていた が前へ降りて、肩の数が 減る。

覚えるのは簡単ですが、なぜ が前に出るのかは定義まで戻ると見えます[1]。

で確かめる

定義どおり を計算します。まず分子を展開する。

を引くと が消え、残りはすべて を含みます。

で を含む項が消え、 だけが残る。前に出た は、二項定理の が 1 個の項の係数です。

が 1 個の項だけが生き残る

一般の でも同じです。 を展開すると、 の個数ごとに項が並びます[2]。

は引き算で消えます。残りを で割ると、 が 1 個だった項だけが のない形になる。

が 2 個以上あった項は割ったあとも が残るので、 で消えます。

が 1 個の項の係数は 。これが前に出る の正体です。

が 個の行は引き算で消え、 個以上の行は最後に消える。真ん中の 1 行だけが答えになります。

定数倍はそのまま外へ出る

のように係数が付いていても、係数は微分に巻き込まれません[3]。

なら 。 なら です。

定義に戻ると理由がすぐ分かります。分子の から をくくり出せるためです。

和と差は別々に微分する

足し算でつながった関数は、1 つずつ微分して足し直します。

引き算も同じです。だから多項式は、項ごとにばらして処理できます。

項ごとに分ける

係数を外に出す

の肩の数を前へ降ろす

この 3 手で、どんな多項式も微分できます。順番は入れ替えても構造は変わりません。

定数を微分すると

のように を含まない関数は、値がどこでも同じです。

分子の が になるので、微分係数は 。グラフが水平だから傾きも です。

多項式の定数項が微分で消えるのは、このためです。 も も、導関数は同じ になります。

例:多項式を 1 行で微分する

を微分します。項ごとに肩を降ろす。

なら 。 の項は なので、降ろすと です。

なら になります。

もとの式導関数

例:先に展開する

のような積は、そのままでは公式が当たりません。

展開して にしてから微分します。答えは です。

なら に直して 。 なら に直して になります。

数学 II の範囲では、積の形をそのまま微分する公式は使いません。

展開してから項ごとに処理する。多項式なら必ず展開できるので、これで足りる。

例:分数の係数

係数が分数でも、外に出す作業は同じです。

の導関数は次のとおり。

と が約分で消えて、きれいな形になりました。問題で が出てくるのは、この約分をねらった作りです。

例:文字定数を含む式

を で微分すると です。

、、 は定数として扱います。動くのは だけ、という約束になっている。

は定数項なので消えます。 の付いた は が残る。

の導関数はどれですか。

__RESULT__

各項の肩を前へ降ろして です。定数項の は微分すると になるので、式には残りません。3 つめは肩の数を減らし忘れた形にあたります。

もう 1 問、係数の扱いを確かめます。

の における微分係数はいくつですか。

__RESULT__

導関数は なので、 を入れて です。 は の値だけ、 は を掛け忘れた計算にあたります。

肩の数を前へ降ろして、肩を 減らす。多項式の微分はこの動作の繰り返しです。

出典

3.3 Differentiation Rules. Calculus Volume 1, OpenStax.
Paul Dawkins. *The Definition of the Derivative*. Paul's Online Notes, Lamar University.
Nombre dérivé – Fonction dérivée. Maths-Cours.fr.
$(x + h)^4$ を展開すると 5 つの項が並びますが、$x^4$ は引き算で消え、$h$ が 2 個以上の項は $h$ で割ったあとも $h$ が残って最後に消えます。生き残るのは $h$ が 1 個だった項だけ。その係数 ${}_n \mathrm{C}_1$ が、前に出る $n$ の正体です。定数倍は外へ出せて、和と差は別々に微分でき、定数項は $0$ になる。$2x^5 - x^3 + 4$、$(2x - 1)^2$ のように展開してから当てる形、$\dfrac{1}{3}x^3$ の約分、$ax^2 + bx + c$ の文字定数まで計算例を並べました。