f(x)=x2−5x−6 で x が 4 から 8 へ動くと、y は −10 から 18 へ動きます。x が 4 増えるあいだに y が 28 増えた。
割ると 428=7 です。x が 1 増えるごとに y が平均で 7 ずつ増えた、という意味になります。
この値を区間 [4,8] における平均変化率といいます[1]。
定義
x が a から b まで動くときの y=f(x) の変化量は f(b)−f(a) です。
これを x の変化量 b−a で割ったものが平均変化率になります。
b−af(b)−f(a)
分子が y の増えぶん、分母が x の増えぶん。中学で習った直線の傾きと、形はまったく同じです。
違うのは相手が直線ではないこと。曲線でも 2 点さえ決まれば、この割り算はできます。
2 点を結ぶ直線の傾き
(a,f(a)) と (b,f(b)) の 2 点を通る直線を引きます。この直線の傾きが平均変化率です[2]。
曲線を 2 点で切る直線なので、割線と呼びます。
三角形の横が x の変化量、縦が y の変化量。斜辺の傾きが求める値です。
例:区間を変える
同じ f(x)=x2−5x−6 で、区間だけをとりかえてみます。
[0,2] では f(0)=−6、f(2)=−12 なので 2−12−(−6)=−3。
[2,5] では f(2)=−12、f(5)=−6 なので 3−6−(−12)=2。
[5,8] では f(5)=−6、f(8)=18 なので 318−(−6)=8 です。
| 区間 | 変化量 | 平均変化率 | | [0,2] | −6 | −3 |
| [2,5] | 6 | 2 |
| [5,8] | 24 | 8 |
区間ごとに値が違います。曲線では、どこを見るかで変化の勢いが変わるためです。
負の値は減っていることを表します。[0,2] ではグラフが下がっている。
例:1 次関数だけは変わらない
f(x)=3x+1 で試します。[0,2] なら 27−1=3。
[5,9] なら 428−16=3。[−4,−1] なら 3−2−(−11)=3 です。
どの区間でも 3 になりました。1 次関数のグラフは直線で、傾きがどこでも同じだからです。
1 次関数
区間をどこにとっても平均変化率は同じ。傾き a がそのまま出る
2 次以上の関数
区間ごとに値が変わる。どこを見たかを言わないと決まらない
平均変化率を答えるときに区間を書き添えるのは、このためです。区間なしでは値が定まりません。
区間の幅は変えずに位置だけずらしています。それでも値は動く。下り坂では負、上り坂では正になります。
2 乗の関数には近道がある
f(x)=x2 の区間 [a,b] での平均変化率を、文字のまま計算します。
b−ab2−a2=b−a(b+a)(b−a)=a+b
両端の値を足すだけでした。[3,7] なら 10、[−2,5] なら 3 です[3]。
f(x)=x3 でも同じように因数分解できます。
b−ab3−a3=a2+ab+b2
[1,3] なら 1+3+9=13。これらは検算にも使えます。
分母の b−a が約分で消えるのは、分子が b−a を因数に持つためです。
bn−an はいつでも b−a で割り切れる。だから平均変化率はきれいな式になる。
例:真ん中の点と一致する
f(x)=x2 の [a,b] での平均変化率は a+b でした。
一方、区間の真ん中は 2a+b です。ここでの接線の傾きは 2×2a+b=a+b。
平均変化率と、区間の中点での接線の傾きが一致しました。2 次関数に特有の性質です。
[2,6] で確かめます。平均変化率は 8、中点 x=4 での接線の傾きも 2×4=8 です。
例:物の動きで読む
x を時刻、y を位置とすると、平均変化率は平均の速さになります[4]。
f(t)=t2+2t で位置が動くとき、1 秒後から 4 秒後までの平均の速さは次のとおり。
4−1f(4)−f(1)=324−3=7
秒速 7 です。3 秒間をならした値で、途中のどこかの瞬間の速さとは限りません。
x を水を入れた時間、y を水の量にすれば、平均変化率は毎分どれだけ入ったかを表します。
例:h を使った書き方
区間を [a,a+h] と書くと、平均変化率は次の形になります。
hf(a+h)−f(a)
b のかわりに「a から h だけ離れた点」と見た書き方です。中身は同じもの。
f(x)=x2 で試すと h(a+h)2−a2=2a+h となり、両端の和 a+(a+h) と一致します。
この形にしておくと、h を小さくしたときの様子が読みやすくなります。
f(x)=x2+1 の区間 [−1,4] における平均変化率はいくつですか。
__RESULT__
f(−1)=2、f(4)=17 なので 4−(−1)17−2=515=3 です。両端の和 −1+4 を使っても同じ値になります。517 は分子を f(4) だけにした形、5 は x の変化量そのものにあたります。
区間を決め、両端の差を割る。ここまでが平均変化率で、区間の幅を 0 へ送ると次の話に移ります。
参考
2.3: The slope of a secant line is the average rate of change/02:_Average_rates_of_change_average_velocity_and_the_secant_line/2.03:_The_slope_of_a_secant_line_is_the_average_rate_of_change). Mathematics LibreTexts. The Rate of Change of a Function. Calculus Early Transcendentals, Simon Fraser University. Josef Leydold. *Kapitel 7: Differentialrechnung*. Mathematik für VW, Wirtschaftsuniversität Wien. Chapitre 3 — Dérivation, étude de fonctions. MathSV, Université Claude Bernard Lyon 1.
$x^2 - 5x - 6$ で $x$ が 4 から 8 へ動くと $y$ は 28 増え、割ると 7。これが区間 $[4, 8]$ の平均変化率です。同じ関数でも $[0, 2]$ なら $-3$、$[5, 8]$ なら 8 と、見る場所で値が変わる。区間をどこにとっても同じ値になるのは 1 次関数だけです。$x^2$ なら両端を足すだけで $a + b$、$x^3$ なら $a^2 + ab + b^2$ になり、分母が約分で消える理由も見ます。2 次関数では平均変化率が区間の中点での接線の傾きと一致する。平均の速さ、毎分入る水の量として読む例も並べました。
f(−1)=2、f(4)=17 なので 4−(−1)17−2=515=3 です。両端の和 −1+4 を使っても同じ値になります。517 は分子を f(4) だけにした形、5 は x の変化量そのものにあたります。