直線電流とコイルがつくる磁界と右ねじの法則
導線に電流を流し、そばに方位磁針を置くと、針が振れます。振れた先は導線の向きでも、導線から離れる向きでもない。導線を回りこむ向きです。
磁界は導線を中心とする同心円をつくります。円のどちら回りかは、電流の向きで決まる。

点とバツは、矢を後ろから見たときの形です。とがった先がこちらへ来れば点、はねが見えれば奥へ去っていく。
直線では親指が電流
円のどちら回りかを決めるのに、右手を使います。導線をボールペンのようににぎり、親指を電流の向きへ立てる。残り 4 本の指が回る向きが磁界です。

距離に反比例する
導線から だけ離れた点の磁束密度は、電流に比例し距離に反比例します。
は真空の透磁率で 、およそ 。単位はテスラ(T)です。
分母の は、導線を中心とする半径 の円の周長にあたります。円周のどこでも磁界の大きさが同じだから、電流を周長で割った形になる。
点電荷の電場は で落ちますが、直線電流の磁界は です。落ち方が 1 段階ゆるい。

線に沿って電流が並んでいるため、遠ざかっても視野に入る量が増えます。そのぶん減り方がゆるむ。
コイルでは指の役がいれかわる
導線を丸めて何回も巻くとコイルになります。1 周ぶんの磁界を足し合わせると、内側で同じ向きにそろう。
コイルでは右手の 4 本の指を電流の向きへ巻きつけ、親指の向きが内側の磁界です。親指の指す側が N 極になる。

直線では磁界が導線を囲み、コイルでは電流が軸を囲みます。どちらの図でも、囲んでいるほうが 4 本の指です。
コイルの内側は場所によらない
十分に長いコイルなら、内側の磁束密度はどこでも同じ値になります。
は単位長さあたりの巻き数で、巻き数 を長さ で割った値。同じ長さなら、巻くほど強くなります。
外側はほとんど です。細長いコイルほど、磁界が内側に閉じこめられる。

磁束密度と磁界の強さ
高校では磁界の強さ と磁束密度 の 2 つが出てきます。真空中では比例するだけの関係です。
の単位は 、 の単位はテスラ。向きはどちらも同じで、以下では でそろえます。
例:導線から 5 cm 離れた点
が流れる導線から 離れた点を調べます。
です。気象庁地磁気観測所によると、日本での地磁気の全磁力はおよそ 、つまり 。導線の磁界はその 6 分の 1 ほどで、方位磁針はわずかにしか振れません。
例:地磁気に並ぶ距離
同じ で、磁界が になる距離を求めます。 を について解く。
でした。導線にほとんど触れるほど近づかないと、地磁気には並びません。
例:コイルの内側
長さ に 回巻いたコイルへ を流します。
。直線 1 本の例と比べると 2 桁大きく、電流はむしろ小さい。巻いて重ねたぶんが効いています。
例:巻き数と長さのどちらが効くか
同じコイルを、長さはそのままで 回巻きに変えます。 が 2 倍になるため も 2 倍の 。
長さを 2 倍にして 回巻いた場合は、 が変わらないので も変わりません。効くのは総巻き数ではなく、単位長さあたりの巻き数のほうです。
例:平行な 2 本の導線
離れた 2 本の平行な導線に、どちらも を同じ向きに流します。中点の磁界はどうなるでしょうか。
中点はどちらの導線からも で、1 本ぶんの大きさは です。ただし 2 本を右手ではさむと、中点では向きが逆になる。打ち消し合って 。
電流を逆向きにすると、中点で 2 つがそろいます。1 本ぶんの 2 倍で 。
例:真上と真下で向きが変わる
机の上を南から北へ電流が流れているとします。真上の点で、磁界はどちらを向くでしょうか。
右手の親指を北へ向けてにぎります。導線の真上では 4 本の指が東を指し、真下では西を指す。
導線をはさんだ 2 点では、磁界がいつも逆を向きます。同心円の上側と下側だから、当然そうなる。
| 右手の当て方 | 直線の導線 | コイル |
|---|---|---|
| 親指 | 電流 | 磁界(N 極の側) |
| 4 本の指 | 磁界 | 電流 |
| 磁界の形 | 導線を囲む同心円 | 内側で軸に平行 |
1 行目と 2 行目が、そっくりいれかわっています。図を描くとき、まず電流の向きを決める。そのあと、電流が囲んでいるのか磁界が囲んでいるのかを見れば、あてる指が決まります。
コイルに右手をあてて磁界の向きを調べます。正しいあて方はどれですか。
- 親指を電流の向きに合わせ、4 本の指が磁界を指す
- 4 本の指を電流の向きに巻きつけ、親指が磁界を指す
- 左手を使い、親指を電流の向きに合わせる
長さ に 回巻いたコイルと、長さ に 回巻いたコイルへ、同じ電流を流します。内側の磁束密度はどちらが大きいですか。
- のほう
- のほう
- 同じ
はどちらも です。 に総巻き数は入っていないため、値は変わりません。巻き数だけを見て 回のほうを選ぶと、長さも 2 倍になっている点が落ちます。
直線かコイルかで迷ったら、電流と磁界のどちらが相手を囲んでいるかを先に見ます。囲んでいるほうを 4 本の指にあてれば、残った親指が答えです。

















コイルでは電流が軸を囲むため、巻きつける 4 本の指が電流にあたります。親指の向きが内側の磁界で、その先が N 極。左手を使うのは、電流が磁界から力を受ける場面の話です。