コンデンサーの極板間引力と静電圧力(高校物理)
充電したコンデンサーの 2 枚の極板は、たがいに引き合います。片方が正、もう片方が負だから当然に見えますが、力の大きさを と書くと答えが 2 倍になる。
正しくは半分です。
は極板の面積、 は真空の誘電率で 。この は計算の途中でうっかり生まれる係数ではなく、力を受ける側が自分のつくった電場からは力を受けない、という事情から来ています。
1 枚の極板がつくる電場
まず極板を 1 枚だけ置きます。面電荷密度を とすると、この板がつくる電場は表と裏へ半分ずつ出ていく。
板をはさむ円筒にガウスの法則をあてます。電気力線が抜けるのは円筒の底面 2 枚ぶん、つまり面積 。
したがって次の形になります。

距離が式に入っていません。無限に広い板からの電場は、離れても弱くならない。近づけば 1 個ずつの電荷からの力は強くなりますが、そのぶん視野に入る電荷が減るため、差し引きでつり合います。
2 枚を向かい合わせる
正の板と負の板を並べると、内側では 2 枚の電場が同じ向きにそろいます。外側では逆を向いて打ち消し合う。
内側の電場は で、1 枚ぶんのちょうど 2 倍。これが極板間の電場 です。
自分の電場では自分を押せない
ここが の出どころです。正の板にはたらく力を考えるとき、かけるべき電場は負の板だけがつくる になります。
自分がつくった電場から自分が力を受けることはありません。自分の手で自分の背中を押しても、全体としては動かないのと同じです。

図の 1 段目が正の板自身のつくる電場で、2 段目が相手のつくる電場です。正の板が受けとるのは 2 段目だけになる。
極板間の電場 で書き直すと です。 としてしまうと、自分の電場からも力を受けたことになる。
別の言い方もあります。極板の表面をまたぐと電場が から へ切りかわるため、板の中では平均して という見方になる。
導体の内側は電場 、すぐ外側は 。表面にある電荷が感じるのはその中間の値で、同じ にたどり着く。
エネルギーの増え方から求める
電場を使わずに、エネルギーの変化からも同じ答えが求められます。電池を外して電気量 を固定し、間隔を から少しずつ広げる。
たくわえたエネルギーは で、 を入れると の 1 次式になります。
外から加えた仕事がそのままエネルギーの増加になるため、 から力が求められます。
電場から求めた答えと一致しました。

グラフが直線だから、傾きは によりません。極板を離しても引力は弱くならない。クーロン力や万有引力が で落ちるのとは、この点が違います。
理由は電場のほうにあります。極板間の電場は距離によらず一定だから、離しても電荷が感じる電場が変わらない。
電池をつないだままだと
電池をつないだまま広げると、見え方が変わります。電圧 が固定され、電気量のほうが減っていく。
で が小さくなるため、コンデンサーのエネルギーは減ります。それでも引力の向きは変わらない。減ったぶんは電池へ戻っており、コンデンサーのエネルギーだけを見て力の向きを決めると答えを誤ります。
力の大きさは を入れれば同じ式から求められます。
電圧で書いた形には が分母にあります。同じ力を別の変数で書いただけです。 を変えると も変わるという事情が、式の形に表れています。
単位面積あたりで見る
力を面積で割ると、圧力の形になります。
静電圧力と呼ばれる量です。右辺は電場のエネルギー密度と同じ形をしており、どちらにも がつく。電場を張るのにいるエネルギーと、電場が引く力が、同じ係数でつながっています。
例:ひとつの設定を 3 通りで解く
面積 、間隔 の極板に をかけます。まず容量と電気量。
極板間の電場は です。
例:電場から求める
にそのまま入れます。
。 円玉は ちょうどで、 円玉 2 枚あまりを持ち上げるくらいの力になります。
例:電圧の式から求める
を使います。
同じ値になりました。
例:静電圧力から求める
を計算してから面積をかけます。
。3 通りとも一致します。値がそろわなければ、どこかで と をとり違えている。
Q と E が分かっているなら QE の半分
V と d が分かっているなら ε0 S V^2 /(2d^2)
E だけなら静電圧力を計算して面積をかける
例:電池を外して間隔を 2 倍にする
のまま から へ広げます。 に が入っていないため、力は のまま動きません。
力が一定だから、仕事はかけ算で求められる。
エネルギーのほうも確かめます。 は に比例するため、 が 2 倍になれば も 2 倍。もとの が だから、増えぶんは で、加えた仕事と一致します。
例:電池をつないだまま間隔を半分にする
が固定されます。 の が半分になるため、 は 4 分の 1 で力は 4 倍。 になります。
容量が 2 倍に増え、電気量も 2 倍になったぶんが効いている。
。間隔を変えても力は動かない
。間隔を詰めるほど力は強くなる
電気量を に保ったまま、極板の間隔を 2 倍に広げます。極板間引力はどうなりますか。
- 半分になる
- 変わらない
- 4 分の 1 になる
極板間の電場が のとき、片方の極板にはたらく力はどれですか。
かけるべきなのは相手の板がつくる です。 を選ぶと、自分のつくった電場からも自分が力を受けたことになります。
がつくかどうかは、電場を全部かけるのか、相手のぶんだけかけるのかの違いです。板を 1 枚だけ描いてみると、そのとき効いている電場がどちらのものかを目で確かめられます。

















F=Q2/(2ε0S) に d が入っていません。電気量と面積だけで決まるため、間隔を変えても力は動かない。半分という答えは、たくわえたエネルギー U=Q2d/(2ε0S) のほうと混ざったものです。