「60を半分で割って20を足したらいくつ?」という問題を見たとき、私は
「で」割る…?
と疑問したあと、なんとなく140という数が浮かびました。この日本語を
60 ÷ 0.5 + 20
と解釈したのです。でもよく考えると、半分という言葉は、なにかを100としたときの50に相当する量を表すから、なんか腑に落ちない…ともやもやしていました。
が!
このもやもやはどうもかなり少数派っぽい。このクイズは22と50の二大流派が存在するみたいで、140派は今のところほとんど見かけない。
22派
60 ÷ 30 + 20
50派
60 ÷ 2 + 20
半分「に」だったら50になるけど、問題文は「で」だから、私は無意識に50を除外してしまった。問題はこの22の式。この考え方は
60を半分で割って
↓
60を(60の)半分で割って
という解釈に根ざしている。これを聞いたとき私はかなり驚いた。そう言われると確かに、「半分で」の前に「その」という指示代名詞がうっすらと見えるような気がしないでもない。
日本語は難しい。
この問題とあまり関係ないけど、このネタが広がったときにまっさきに思いだしたのは、私が大学一年生だったときの数学の授業。ある生徒が包含関係という言葉(なにかがなにかに含まれる関係)を包括関係と言ったときに、数学の教授が豹変して「包括?なんですかその言葉は?」みたいに言って、クラス内が凍りついた。
あれはいまだに忘れられない…。
数学の世界はけっこう日本語にシビアで、私も一回だけ大学院生に怒られたことがあります。私がファイバー(幾何学で出るアレ)を「棒」と言った瞬間、博士課程の大学院生が急に「棒?ちょっと…なにを言っているのかよくわからない」と怒ったのは、今でも忘れられない恐怖。