現代文の評論を読んでいると、カタカナ語がたくさん出てきます。なんとなく雰囲気で読み飛ばしがちですが、これらの意味を正確に押さえておくと、文章の理解度が格段に上がります。
自己・他者に関する語
アイデンティティは「自己同一性」と訳されます。「自分は自分である」という感覚、つまり自分が何者であるかという認識のことです。思春期によく問題になるテーマで、「アイデンティティの確立」「アイデンティティの揺らぎ」といった形で登場します。
ペルソナは「仮面」を意味するラテン語が語源で、社会的な役割や外向きの顔を指します。本当の自分とは別に、場面に応じて使い分ける「顔」のことだと考えるとわかりやすいでしょう。
エゴイズムは「利己主義」のことです。自分の利益だけを追求する態度を批判的に言う場合が多いですが、近代的な個人の成立と関連して論じられることもあります。
思想・世界観に関する語
イデオロギーは「観念形態」と訳され、ある集団や時代に共有される思想体系を指します。政治的な文脈で使われることが多く、「支配的イデオロギー」「イデオロギー対立」のように用いられます。
パラダイムは「ある時代の支配的な考え方の枠組み」です。科学哲学者クーンが提唱した概念で、「パラダイムシフト」といえば、根本的な考え方が大きく転換することを意味します。
特定の立場・集団の思想体系。政治色が強い。
時代全体を支配する思考の枠組み。学問・科学の文脈で使われやすい。
コンテクストは「文脈」です。言葉や行為が置かれている状況・背景のことで、「コンテクストを無視した解釈」のように使います。文章読解そのものに関わる重要語でもあります。
表現・認識に関する語
メタファーは「隠喩」のことです。「人生は旅だ」のように、直接「〜のような」と言わずに別のものに喩える表現を指します。評論では、言語や思考そのものがメタファーで成り立っているという議論がよく出てきます。
レトリックは「修辞」、つまり効果的に表現するための技法です。比喩や反復、対句などがこれにあたります。ただし「レトリックに過ぎない」と言うと、「中身のない言葉の飾り」という否定的な意味になることもあります。
ステレオタイプは「固定観念」や「紋切り型」のことです。「男性は〜」「日本人は〜」のような、根拠なく広まっている画一的なイメージを指し、批判的な文脈で使われます。
社会・文化に関する語
グローバリズムは地球規模での一体化を志向する考え方で、経済・文化・情報などが国境を越えて広がることを肯定的に捉える立場です。対義的な概念としてローカリズム(地域主義)があります。
マイノリティは「少数派」、マジョリティは「多数派」です。数の問題だけでなく、社会的な力関係において弱い立場に置かれた集団を指すことが多いです。
コミュニティは「共同体」です。地域や関心を共有する人々の集まりを指しますが、現代ではオンライン上の集まりにも使われます。「コミュニティの崩壊」は現代社会論の定番テーマになっています。
カタカナ語は日本語訳とセットで覚えましょう。「アイデンティティ=自己同一性」のように対応させておくと、文中で出てきたときにすぐ意味が取れます。
同じ語でも文脈によってニュアンスが変わることがあります。たとえば「レトリック」は技法として肯定的に使われる場合と、空虚な言葉として否定的に使われる場合があります。前後の文脈をよく確認しましょう。