数学講師
13 Jun 2024 05 May 2016

指数関数は二次関数どころか 10000 次関数より「強い」

指数関数は多項式で表される関数(二次関数など)より早く発散します。下表は $y=2^x$ と $y=x^2$ の比較です。

$x$ $y=2^x$ $y=x^2$
0 1 0
1 2 1
2 4 4
3 8 9
4 16 16
5 32 25
6 64 36
7 128 49
8 256 64
9 512 81
10 1024 100
11 2048 121
12 4096 144
13 8192 169
14 16384 196
15 32768 225
16 65536 256
17 131072 289
18 262144 324
19 524288 361
20 1048576 400

$x$ が $5$ くらいまではそれほど差はないものの、やがて加速度的に差がついています。指数関数がいかに『強い』関数かわかりますね。

指数関数は無限次関数である

なぜ指数関数はここまで強いか。それは指数関数の「次数」が無限だからです。

指数関数は多項式と根本的に異なりますが、実は多項式のように書けます。これ以上は大学の範囲(テイラー展開)ですが、指数関数を多項式のように表すと無限次関数になります。

\begin{split} e^x &= \sum_{n=0}^\infty \dfrac{x^n}{n!} \\ &= 1+x+\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^3}{3!}+\dfrac{x^4}{4!}+\cdots \end{split}

テイラー展開によって指数関数が無限次の関数であり、どんな多項式も指数関数に勝てないことがわかります。

指数関数が絡む極限の問題は簡単な場合が多い

以上の指数関数の性質から次の公式(?)が得られます。

\[ \lim_{x\to\infty}\dfrac{a_n x^n+a_{n-1} x^{n-1}+\cdots+a_1 x + a_0}{e^x}=0 \]

分母に指数関数、分子に多項式があるような関数はたいてい $x \rightarrow \infty$ で $0$ に収束します。