天の川銀河と同じ形の銀河は、宇宙にいくらでもあります。薄い円盤があり、そこに腕が巻いている。これを渦巻銀河といいます。
腕が明るく見えるのは、そこに若い星が並んでいるからです。若くて重い星は青白く、そして短命です。生まれたところからあまり動かないうちに燃え尽きるので、生まれた場所に印を付けたように光ります。
星が生まれるにはガスが要ります。渦巻銀河の円盤にはガスがたっぷり残っていて、いまも星を作り続けています。腕はそのガスが混み合うところです。
中心にはバルジがあり、円盤の外にはハローが広がります。前の記事で組み立てた天の川銀河の構造が、そのまま外から見た形になっています。
まったく違う見え方をする銀河があります。腕も円盤もなく、のっぺりした楕円形に見えるものです。楕円銀河といいます。
ここには若い星がほとんどいません。赤い古い星ばかりで、星の材料になるガスも少ない。星を作る仕事はとうに終わっている、という姿です。
支え方も違います。渦巻銀河の星は、円盤の中を同じ向きにそろって回っています。楕円銀河の星は、そろっていません。それぞれが勝手な向きの細長い軌道を回っていて、全体としては回っていないのに、つぶれずに広がったままです。
蜂の群れのようなものだと思ってください。個々は速く動いているのに、群れの形は保たれています。動きの向きがばらばらであることが、重力に対する支えになっています。
ハッブルは、この 2 つを 1 枚の図に並べました。左に楕円銀河を、丸いものから平たいものへ順に置きます。 から までの番号は、そのつぶれ具合です。
右へ進んだところで枝が 2 つに分かれます。上が普通の渦巻、下が中心に棒を持つ棒渦巻です。どちらの枝も、左から右へ、バルジが小さく腕がほどけていく順に並びます。
分かれ目のところにあるのが です。円盤はあるのに腕がない、渦巻と楕円の中間の姿をしています。
この図は音叉の形をしているので、ハッブルの音叉図と呼ばれます。分類の道具としては、いまでもそのまま使われています。
ハッブルは、この並びを進化の順序だと考えました。丸い楕円銀河が平たくなり、やがて腕を持つようになる、という向きです。それで左を早期型、右を晩期型と呼びました。
いまでは、この順序は逆だと分かっています。渦巻銀河どうしがぶつかると、円盤はこわれ、星の動きの向きはばらばらになります。ガスは使い果たされるか、吹き飛ばされる。残るのは楕円銀河です。
早期型・晩期型という呼び名だけが、そのまま使われ続けています。順序を表さない名前になったので、これは形の名札にすぎません。
それでも分類そのものは無駄になりませんでした。形はその銀河が何を経てきたかを語っています。渦巻は静かに育った銀河、楕円は激しい合体を経た銀河です。