エドワード1世(1239年 - 1307年)は、イングランド王として1272年から1307年まで在位しました。力強い性格と政治手腕から「長脛王(ロングシャンクス)」と呼ばれ、また法制度や議会制度を整備した功績から「英国の立法者」とも評されます。
生涯と政治背景
エドワードはヘンリー3世の子として生まれました。若い頃から軍事的才能を示し、第9回十字軍にも参加しています。1272年に父の死去によって王位に就いた後、中央集権的な王権強化を進めました。
強力な軍事遠征による支配拡大
ウェールズ征服と統治体制の整備
議会制度の確立と法の整備
スコットランドとの戦争
ウェールズ征服
エドワード1世の最大の軍事的成果は、ウェールズの完全征服です。1282年にウェールズ大公ルウェリン・アプ・グリフィズを討ち、その領土を併合しました。そしてウェールズに多くの城塞(カーナーヴォン城、コンウィ城など)を築き、支配を固めました。以後、彼の子孫は「プリンス・オブ・ウェールズ」と称されるようになります。
法制度と議会
エドワード1世は「模範議会(Model Parliament)」と呼ばれる1295年の議会を招集し、貴族だけでなく都市や郡の代表も参加させました。これが後世のイギリス議会制度の基盤となりました。また、法の成文化を進め、王国全体で統一的な法体系を整える努力を行いました。
地方ごとに異なる慣習法
全国的に統一された王国の法律
スコットランドとの戦争
晩年、エドワード1世はスコットランドの独立運動を抑え込もうとしました。最初は成功を収めたものの、ウィリアム・ウォレスやロバート・ブルースらの抵抗に直面し、戦いは長期化しました。1307年、スコットランド遠征の途上で没し、その後の戦争は彼の子エドワード2世に引き継がれました。