中国最古の王朝とされるが、考古学的証拠は限定的。禹王による治水事業で有名。
中国の歴史は世界最古の文明の一つであり、約5000年にわたって連綿と続いています。黄河流域で始まった古代文明から現在の中華人民共和国まで、王朝の興亡と文化の発展を辿ってみましょう。
古代王朝の成立
中国最古の王朝とされる夏王朝(紀元前2070年頃~紀元前1600年頃)から始まり、殷(商)王朝で甲骨文字が生まれ、周王朝では封建制度が確立されました。
甲骨文字の使用開始。青銅器文化が発達し、占いが重要な政治的役割を果たした。
封建制度を確立。天命思想により王権の正統性を説明。春秋戦国時代へと続く。
春秋戦国時代と思想の発展
紀元前770年から紀元前221年までの春秋戦国時代は、政治的混乱の一方で思想的には極めて豊かな時代でした。
仁・義・礼を重んじる教えで、後の中国社会の基盤となる。君主と臣下、父と子の関係を重視した。
自然に従う「無為自然」の思想。儒教とは対照的に、人為的な制度や規範を批判した。
法家、墨家、陰陽家など多様な思想が競合。この時代の思想的多様性は中国文化の礎となった。
統一帝国の誕生
紀元前221年、秦の始皇帝が初めて中国を統一し、皇帝制度を確立しました。
戦国七雄の抗争
秦による統一戦争
始皇帝による全国統治
文字・通貨・度量衡の統一
始皇帝は万里の長城の建設、焚書坑儒による思想統制、郡県制による中央集権化を推進しましたが、厳格な法治主義への反発から秦朝は短期間で滅亡しました。
漢王朝と文化的基盤の確立
紀元前206年に成立した漢王朝(前漢・後漢)は約400年間続き、中国文化の基礎を築きました。
漢王朝では儒教が国教として採用され、科挙制度の原型となる官吏登用制度が発達しました。
学問と道徳を重視した官僚選抜制度の基盤。
また、シルクロードが開通し、西域との交易が活発化しました。紙の発明、司馬遷による『史記』の編纂など、文化的発展も著しい時代でした。
魏晋南北朝時代の分裂
漢王朝滅亡後は約400年間にわたって分裂時代が続きます。三国時代(魏・蜀・呉)を経て、晋による一時的統一、その後の五胡十六国時代、南北朝時代へと続きました。
頻繁な王朝交代と戦乱により、中央集権体制が弱体化。異民族の流入も進んだ。
政治的不安定さとは裏腹に、仏教の伝来・普及、詩文学の発達、芸術の多様化が進んだ。
隋唐盛世
581年に隋が中国を再統一し、618年に成立した唐王朝で中国は最盛期を迎えます。
李淵(高祖)が建国。長安を都とし、東アジア最大の帝国となった。
「貞観の治」と呼ばれる善政。科挙制度を整備し、優秀な人材を登用。
中国史上唯一の女帝。仏教を保護し、文化の発展に寄与した。
人口約6000万人に達し、首都長安は世界最大の都市となった。詩人李白・杜甫が活躍。
唐代は国際色豊かな文化が花開き、日本をはじめとする周辺諸国に大きな影響を与えました。
宋代の技術革新と経済発展
960年に成立した宋王朝は、軍事的には弱体でしたが、技術革新と経済発展の面で画期的な時代でした。
火薬・羅針盤・印刷術の発明により「四大発明」が完成。これらは後にヨーロッパに伝わり、世界史に大きな影響を与えた。
農業技術の向上により人口が1億人を突破。商業が発達し、紙幣(交子)が世界で初めて使用された。
朱子学(宋学)が確立し、後の東アジア思想界の基盤となった。詩文学も高度に発達した。
モンゴル支配と明王朝
1271年にモンゴル族が元王朝を建て、中国は外民族支配を経験します。1368年に漢民族の明王朝が成立し、中華秩序を復活させました。
元朝による統治(1271-1368)
朱元璋による明朝建国
永楽帝による南京から北京への遷都
鄭和の南海遠征(1405-1433)
明代には紫禁城の建設、『永楽大典』の編纂、小説『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』の成立など、文化面でも大きな発展を遂げました。
清王朝と近世中国
1644年に満州族の清王朝が成立し、中国は再び異民族支配下に入りますが、領土は史上最大規模に拡大しました。
満州族(女真族)による征服王朝。漢民族に辮髪を強制するなど、民族支配政策を実施。
61年間の長期政権。台湾統一、ロシアとのネルチンスク条約締結など、領土拡張を進めた。
清朝の最盛期。人口3億人を突破し、『四庫全書』の編纂など文化事業も盛んだった。
イギリスとの戦争に敗北し、南京条約により香港を割譲。近代的屈辱の始まり。
近代化への苦悩
19世紀中葉以降、西欧列強の進出により中国は「半植民地」状態に陥ります。
「中体西用」をスローガンに、伝統的価値観を維持しながら西洋技術を導入しようとした改革運動。
康有為・梁啓超らによる急進的改革。わずか103日で保守派により挫折(戊戌政変)。
義和団事件(1900年)、日露戦争(1904-1905)を経て、清朝の威信は決定的に失墜します。
共和制への転換と混乱期
孫文らの革命により清朝が滅亡。翌年、中華民国が成立し、約2000年続いた皇帝制が終焉。
袁世凱の死後、各地の軍閥が独立勢力を形成。中央政府の統制が及ばない混乱期。
マルクス・レーニン主義を掲げる政党として上海で結党。毛沢東らが参加。
蒋介石率いる国民党が共産党を弾圧。以後、内戦状態が続く。
抗日戦争と国共内戦
1937年に始まった日中戦争(抗日戦争)は8年間続き、中国に甚大な被害をもたらしました。戦後は国民党と共産党の内戦が再開されます。
盧溝橋事件(1937年7月)
全面的日中戦争の開始
国共第二次合作による抗日統一戦線
日本の敗戦と内戦再開(1945年)
中華人民共和国の成立
1949年10月1日、毛沢東により中華人民共和国の成立が宣言されました。
地主制度の廃止と農民への土地分配を実施。工商業の国有化も段階的に進められた。
急進的な工業化政策だったが、計画の非現実性から大飢饉を招き、数千万人が犠牲となった。
毛沢東の主導による政治運動。知識人や党幹部への迫害が行われ、経済・文化に深刻な打撃を与えた。
改革開放と現代中国
1978年、鄧小平の指導により改革開放政策が開始され、中国は市場経済を導入します。
鄧小平による「黒い猫でも白い猫でも、鼠を捕る猫が良い猫だ」の実用主義的政策転換。
深圳・珠海・汕頭・厦門に経済特区を設置。外国投資を積極的に誘致。
民主化を求める学生運動が武力鎮圧される。国際的孤立を招いたが、その後経済発展を重視。
世界貿易機関への加盟により、グローバル経済に本格的に参入。「世界の工場」となる。
「中華民族の偉大な復興」を掲げ、一帯一路構想など積極的外交を展開。
現在の中国は世界第2位の経済大国として、国際社会で大きな影響力を持つ存在となっています。長い歴史を通じて培われた文化的伝統と、急速な近代化が併存する複雑な社会を形成しており、21世紀の世界情勢において重要な役割を果たし続けています。