小説の読解問題では「このときの主人公の心情を説明せよ」という設問がよく出ます。このとき、心情を表す語彙を知っているかどうかで、解答の精度が大きく変わります。ここでは、試験に頻出する心情語を整理しておきましょう。
怒り・不快を表す語
憤然(ふんぜん) は、怒りで気持ちが高ぶっているさまです。「憤然として席を立った」のように、怒りを抑えきれない様子を表します。
憮然(ぶぜん) は要注意の語です。本来は「失望してぼんやりするさま」という意味ですが、現代では「不機嫌なさま」「むっとした様子」の意味で使われることも多くなっています。試験では文脈から判断する必要があります。
忌々しい(いまいましい) は、腹立たしく不愉快な気持ちを表します。自分の思い通りにならない状況への苛立ちを含んでいます。
業腹(ごうはら) は、非常に腹が立つことです。「業」は仏教用語で、ここでは「しゃくにさわる」というニュアンスになります。
悲しみ・寂しさを表す語
憂愁(ゆうしゅう) は、もの悲しく憂鬱な気持ちです。静かで深い悲しみを表し、「憂愁に沈む」「憂愁を帯びた表情」のように使います。
哀惜(あいせき) は、悲しみ惜しむ気持ちです。人の死や別れに際して使われることが多く、「故人を哀惜する」のように用います。
悄然(しょうぜん) は、元気がなくしょんぼりしているさまです。「悄然と肩を落とす」のように、落胆して意気消沈した様子を表します。
静かで深い悲しみ。内面にこもる感じ。
元気をなくした様子。外から見てわかるしょんぼり感。
恥・後悔を表す語
忸怩(じくじ) は、自分の行いを深く恥じる気持ちです。「忸怩たる思い」という形で使われ、単なる恥ずかしさではなく、自責の念を伴います。
慚愧(ざんき) も恥じ入ることですが、より強い後悔と反省のニュアンスがあります。「慚愧に堪えない」で「恥ずかしくてたまらない」という意味になります。
面映ゆい(おもはゆい) は、きまりが悪い、照れくさいという気持ちです。褒められたときなどに感じる、居心地の悪さを表します。
喜び・満足を表す語
欣喜(きんき) は、非常に喜ぶことです。「欣喜雀躍(きんきじゃくやく)」という四字熟語で、小躍りするほど喜ぶさまを表します。
会心(かいしん) は、心にかなって満足することです。「会心の笑み」「会心の出来」のように、自分の期待通りになった喜びを表します。
快哉(かいさい) は、痛快で気持ちがいいことです。「快哉を叫ぶ」で、「やった!」と叫びたくなるような喜びを表します。
複雑な心情を表す語
逡巡(しゅんじゅん) は、ためらって決心がつかないことです。「逡巡する」で、迷いや躊躇のある様子を表します。小説では、登場人物の葛藤を示す重要な語です。
狼狽(ろうばい) は、あわてふためくことです。予想外の事態に動揺して取り乱す様子を表します。「狼狽を隠せない」のように使います。
感慨(かんがい) は、しみじみと感じる気持ちです。過去を振り返ったり、物事の移り変わりを実感したりするときの、深い思いを表します。「感慨深い」「感慨にふける」のように使います。
心情語を知っていても、答案でそのまま使えばいいわけではありません。「憮然とした」と書くより、「期待を裏切られて落胆し、やりきれない気持ち」のように具体的に説明できると、より高い評価につながります。
心情は直接書かれないことも多いです。登場人物の行動、表情、風景描写から推測する力も必要です。「肩を落とした」なら落胆、「空を見上げた」なら感慨や虚しさ、といった間接的な描写にも注目しましょう。