諸行無常とは、この世に不変なものはなく、人間も世界も変わりつづけるという仏教用語。仏教の重要な考えをまとめた四法印の一つ。
平家物語の冒頭「祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり」の由来でもある。
この世に不変なものはないということは、栄えている者が永遠に栄えることもないということを暗示する。平家物語は隆盛を極めた平家の没落を描くことで、人間社会の不変性を否定した。
管理人の見解
諸行無常は仏教の根本原理であると同時に、科学的に有意義な問いかけを果たしている。
生態系を見ればわかるように、ほとんどすべての生物は弱肉強食をくりかえし、自然選択によって旧種は滅び、新種が生まれる。恐竜はかつて今の人間と同じように生態系の支配的立場にあったが、環境の変化に耐えられず滅びた。しかし恐竜の遺伝子に一部は鳥類に受け継がれて今に至っている。
さらにスケールを大きくすると、永遠に輝きつづけているように見える星もまた、未来の果てに死が待っている。核融合反応が進まなくなった星は爆発し、飛び散った元素は次の星の材料になっていく。
このようにすべてのものは必ず滅びる。そして滅びるものたちは次のもののためになっていく。前者は仏教の諸行無常、後者はウパニシャッドの輪廻転生が唱えていることに近い。