温度と分子の速さ(運動エネルギーと 3kT/2・二乗平均速度・内部エネルギー)

温めると速くなる

同じ気体でも、温度が高いほど分子は速く動きます。盤面で温度を上げると分子の色が青から赤へ移り、箱の中の動きが目に見えて激しくなります。

どれだけ速くなるかは、温度に比例するのではありません。温度を 4 倍にしても速さは 4 倍にならず、2 倍になります。速さは温度の平方根で伸びるからです。

逆に温度を下げていくと分子は遅くなります。速さが 0 になるところが、それより下げられない温度、つまり絶対 0 度です。摂氏ではなく絶対温度を使うのは、この目盛りにすると温度と速さの 2 乗がまっすぐ比例するためです。

では温度とは何なのか。分子の運動そのものです。

温度の正体

分子 1 個の運動エネルギーは です。速さはばらついているので、平均をとって と書きます。山かっこは平均を表す印です。

これが絶対温度にまっすぐ比例します。比例の定数をボルツマン定数 とすると です。右の 3 は向きの数で、 のそれぞれが ずつ受け持ちます。

この式が温度の定義にあたります。温度計が測っているのは、分子 1 個あたりの運動エネルギーの平均です。分子 1 個の速さは測れませんが、平均なら壁への圧力として表に出てきます。

熱いものと冷たいものを触れさせると温度がそろうのも、これで読めます。速い分子が遅い分子に衝突でエネルギーを渡し、両方の平均が同じ値へ寄っていくだけです。

重い分子はゆっくり

温度が同じなら運動エネルギーの平均も同じです。ということは、重い分子ほど遅く動いていることになります。

式にすると で、その平方根が二乗平均速度 です。質量が 4 倍の分子は、同じ温度でも速さが半分になります。

風船から水素やヘリウムが早く抜けるのはこれです。軽い分子は同じ温度でも速いので、ゴムのすきまへたどり着く回数が多くなります。空気の中で窒素が酸素より少し速いのも、同じ理由です。

盤面の分子はすべて同じ質量なので、温度を変えると全員がそろって速くなります。質量が混ざっていれば、同じ速さに見える分子どうしでも運動エネルギーは違います。

内部エネルギー

気体全体が持つエネルギーを内部エネルギーといいます。単原子分子の理想気体では分子どうしが引き合わないので、位置のエネルギーがなく、運動エネルギーの合計がそのまま内部エネルギーになります。

1 個あたり なので、 個ぶんで 、モルで書けば です。体積も圧力も出てきません。内部エネルギーは温度だけで決まります。

ですから「温度が変わらなければ内部エネルギーも変わらない」と言えます。等温変化で になるのがこれで、入れた熱はそのまま仕事として出ていきます。

逆に体積を動かさずに温めれば、入れた熱はすべて内部エネルギーになります。定積変化で になるのがこれです。状態変化のページに並ぶ 3 本の帯は、この関係を見ています。

分子と圧力
シミュレーション圧力は分子が壁を叩く力温度は分子の運動エネルギー速さは分布する
状態変化
シミュレーション
カルノー機関
シミュレーション
自由膨張とエントロピー
シミュレーション