山川出版社の「詳説世界史研究」は高校世界史の百科事典的な教科書です。世界史の辞典にはなりますが、普段使う教科書にはなりにくいと考えられます。
項目 | 評価 |
---|---|
使いやすさ | ★★★ |
詳しさ | ★★★★★ |
おすすめ | ★★ |
レベル | 上級 |
対象 | 高3~ |
詳説というだけあって詳しさはずば抜けている
山川出版社の他の本、あるいは予備校が出版している本と比べて情報量がずば抜けて多く、この本に書かれていないものはまず間違いなく受験に出ないでしょう。
ページ数は600ページ近くあり、しかも文字が小さいため一ページあたりの情報が他の本より多く、予備校の本にしたら1000ページ近くいくのではないかと思われます。それだけ分量があるということは、それだけ読みづらいということで、使い方を誤ると時間の浪費になります。
また本書は近現代史に比重が置かれていますが、人によっては分野ごとの詳しさに差があるような印象を受けるかもしれません。
ネットの評判に注意
本書は世界史の本として最高の一冊となっています。ネットの評判も極めて高いので安心できますが、高校生と受験生には「ちょっと待った!」と言いたい。
確かにすばらしい本ですが、少ない時間をやりくりしている学生にとって効率的な教科書ではありません。特に世界史を覚えたての人にはおすすめできません。
例えば平安時代を理解するにあたって、摂関政治→院制という流れもわからないのに「知行国」という言葉を院制と一緒に覚えることは非効率です。
歴史はある程度の流れをおさえた上で、練習問題などを通して知識を補っていくのが近道です。最初から途方もない量の知識を入れようとすれば、肝心の流れが理解できずに終わります。
本書の使い方
「詳説世界史研究」はあくまでも辞書。教科書として使うというのはナンセンスです。「この戦争って本当はどうやって起きたんだろう?」といった疑問が起きた時、あるいは教科書や問題集を読んでも納得できないものが出てきた時に使ってください。
これから世界史を勉強しようという方は山川出版社の青いテキストをまずは読もう
「これから世界史をがんばるぞ」という方は昔から使われている青いテキストがいいです。日本史はピンク、世界史は青の表紙で、ほとんどの書店に置いてあります。ほとんどの書店に置いてあるということは、それだけ多くの学生に使われている、安心して使えるということですね。
今まで世界史研究を「おすすめできない」という感じで伝えていますが、大学生以上になると話はまた大きく変わってきます。
歴史を学ぶ大学生にとっては必須
筆者は理系ですが、大学で社会契約、西洋哲学、ヨーロッパ史などの科目をとっていたので、世界史の専門書が必要でした。
「社会系の学問を勉強するなら世界史を知らないと話にならない」という話を大学で聞いたので、世界史の本を何冊か買いました。その一冊が実はこの世界史研究。
山川出版社の青いテキストもいいのですが、大学レベルではとさすがに足りない。そこで出てくる本が本書であり、おそらくこれ以上に大学生にフィットする世界史はない。
専門的すぎず、しかしかなりすごいレベルまでつっこんでいる、その絶妙な詳しさ加減が大学生にぴったり。