細胞膜のチャネルとトランスポーター

細胞膜は脂質二重層です。水になじまない尾が向かい合った層が中央にあるため、電荷を帯びたイオンはそのままでは通れません。通り道になるのが膜を貫くタンパク質で、この図は 6 種類が並ぶ膜の断面を、膜電位の計算といっしょに動かしています。

静止しているあいだ開いているのは、K⁺ リークチャネルだけです。膜の K⁺ 透過性が Na⁺ の数十倍あるため、膜電位は K⁺ の平衡電位寄りの -70 mV 前後に落ち着きます。静止膜電位は何も起きていない状態のことではなく、そのとき開いているチャネルの種類が決めている値です。

刺激で膜電位が -55 mV あたりまで浅くなると、電位依存性 Na⁺ チャネルが開きます。開けば Na⁺ が流れ込んでさらに浅くなり、それがまたチャネルを開くので、あとは坂を転げ落ちるように立ち上がります。4 つのドメインが協調して開くため、開口確率は m³ に比例します。

立ち上がりの 1 ミリ秒あまり後、同じ Na⁺ チャネルが自分で閉じます。細胞質側から IFM モチーフが孔に嵌まり込む不活性化で、膜が再分極するまで外れません。これが不応期の実体であり、活動電位が来た道を引き返さず、一方向へ伝わる理由でもあります。

そこへ遅れて電位依存性 K⁺ チャネルが開きます。4 つのサブユニットすべてが開いて初めて通るので開口確率は n⁴ となり、Na⁺ 電流から数ミリ秒遅れます。K⁺ が出ていくことで膜電位は引き戻され、閉じ遅れるぶんだけ静止電位を通り越して後過分極になります。記録の下の枠で gNa と gK のずれを見ると、この順番がそのまま出ています。

これらのチャネルはどれも、膜の内外にイオンの濃度差があることを前提に働きます。その濃度差を作っているのが Na⁺/K⁺-ATPase で、ATP 1 分子あたり Na⁺ を 3 個汲み出し、K⁺ を 2 個取り込みます。1 秒あたり数百回転と遅いかわりに数が多く、ニューロンの ATP 消費のおよそ半分を占めます。ウアバインで止めると濃度差がゆっくり崩れ、静止電位が浅くなって、やがて興奮できなくなります。

残る 2 つは電位では動きません。ニコチン性 ACh 受容体は分子が結合したときだけ開き、Na⁺ と K⁺ を区別せずに通します。静止電位では Na⁺ の流入が優位なので脱分極し、閾値を越えればそこから先は電位依存性チャネルが引き継ぎます。アクアポリンは水だけを通し、プロトンは通しません。イオンの通り道とは無関係の孔です。

計測パネルの平衡電位はネルンストの式 E = (61.5/z) log₁₀([外]/[内]) によるもので、哺乳類ニューロン(37 °C)の値です。図の膜電位は Hodgkin–Huxley モデル(ヤリイカ巨大軸索, 6.3 °C, E_Na = +50 mV, E_K = -77 mV)を0.025 ms 刻みで積分した値なので、表とは平衡電位が違います。ゲートの開き具合は m³h と n⁴ を、そのまま図の開き方に使っています。

断面のタンパク質を押すと、そのタンパク質の解説に切り替わります。左上のタンパク質パネルからも選べます。左下の操作パネルで刺激を打ち、再生と速さを変え、阻害薬を投与します。パネルはヘッダーを掴んで動かせ、四辺と四隅で大きさを変えられます。タイトルをダブルクリックすると、右上の定位置に固定されます。