金属イオンに、非共有電子対をもつ分子やイオンがいくつか結びついてできたイオンを錯イオンという。中心にいる金属イオンを中心金属イオン、まわりから結びつくものを配位子という。
錯イオン全体の電荷は、中心金属イオンの電荷と配位子の電荷を合わせたものになる。書くときは全体を角かっこで囲み、その右上に電荷を添える。
配位子は非共有電子対をもっていて、それを中心金属イオンへ一方的に差し出す。共有する電子対を片方だけが出す結合を配位結合という。
できあがった結合は、ふつうの共有結合と区別がつかない。違うのは電子対をどちらが出したかという由来だけで、結合の強さも長さも共有結合と変わらない。
中心金属イオンに結びつく配位子の数を配位数という。配位数は中心金属イオンの種類でほぼ決まり、銀イオンは 2、銅イオンと亜鉛イオンとアルミニウムイオンは 4、鉄イオンは 6 である。
配位子どうしは互いに離れようとするので、配位数が決まれば立体構造も決まる。2 なら直線形、4 なら正四面体形、6 なら正八面体形になる。ただし銅(II)だけは例外で、配位数 4 でも正方形をとる。
覚えておく錯イオンは次の 7 つである。名前は、配位子の数を表すギリシャ語の数詞、配位子の名前、中心金属の名前の順に並べる。全体が陰イオンになるものは、金属の名前を酸イオンと読む。
錯イオンの色は、中心金属イオンと配位子の組み合わせで決まる。同じ亜鉛イオンでも配位子が変われば別の錯イオンになるが、亜鉛の錯イオンはどちらも無色である。
銅の錯イオンの深い青色と、鉄の錯イオンの黄色は、水溶液を見分ける手がかりになる。硫酸銅(II)水溶液に少量のアンモニア水を加えると青白い沈殿ができ、さらに加えると沈殿が溶けて深青色の水溶液になる。