電磁波が運ぶエネルギー(ポインティングベクトルと逆 2 乗の法則)

場そのものがエネルギーを持つ

電場と磁場は、そこにあるだけでエネルギーを持っています。電場のぶんは 12ε0E2\dfrac{1}{2}\varepsilon_0 E^2、磁場のぶんは 12μ0B2\dfrac{1}{2\mu_0}B^2 で、どちらも場の強さの 2 乗に比例します。

2 乗なので、符号は関係ありません。図の下の曲線がエネルギーで、波の山でも谷でも同じだけ大きくなり、0 を通る節でだけ消えます。1 波長のあいだに山が 2 つできるのはそのためです。

電磁波では E=cB\left| \mathbf{E} \right| = c \left| \mathbf{B} \right| が成り立つので、電場のぶんと磁場のぶんはいつも等しくなります。エネルギーは 2 つに半分ずつ入っています。

エネルギーが流れる向き

エネルギーがどちらへどれだけ流れているかは、S=1μ0E×B\mathbf{S} = \dfrac{1}{\mu_0} \mathbf{E} \times \mathbf{B} で決まります。これをポインティングベクトルといいます。

外積なので、向きは電場と磁場の両方に直交します。電磁波では 2 つとも進行方向に直交していたので、残る向きは進行方向そのものです。エネルギーは波が進む向きへ運ばれます。

図で電場と磁場が同時に符号を変えても、エネルギーの矢印は向きを変えません。2 つとも符号が変われば、外積は元の向きに戻るからです。行きも帰りもなく、いつも前へ運ばれます。

強さは振幅の 2 乗

振幅を 2 倍にすると、運ぶエネルギーは 4 倍になります。2 乗で効くからで、図の棒の長さが 1 と 4 になっているのがそれです。

目や測定器が受け取るのは、細かい振動を均した平均のほうです。これを強度といい、やはり振幅の 2 乗に比例します。

光を 2 倍明るくするには、電場の振れを 2 倍にするのでは足りません。2\sqrt{2} 倍にすれば明るさが 2 倍になる、という関係です。

距離の 2 乗で薄まる

点のような光源から出た光は、四方へ広がっていきます。出ていく総量は変わりませんが、それが広がる球の面積は距離の 2 乗で増えます。

だから同じ広さの面が受け取る量は、距離の 2 乗に反比例して減ります。2 倍離れれば 4 分の 1、3 倍離れれば 9 分の 1 です。図の棒がその割合です。

星の明るさから距離を測れるのは、この法則があるからです。本来の明るさが分かっている星なら、届いた明るさと比べるだけで、どれだけ離れているかが出せます。