筋が縮むとき、顕微鏡の縞はどうなるでしょうか。図はサルコメアの長さをゆっくり往復させたものです。
縞の間隔が伸び縮みしています。濃い帯の中央にある明るい筋は、縮むほど狭くなって、やがて消えます。
ここで一つ確かめておきたいことがあります。濃い帯そのものの幅は、変わっているでしょうか。
同じ動きを模式図で見ます。両端の Z線が近づいたり離れたりしています。
太いフィラメントは真ん中にあって、動いていません。細いフィラメントは Z線と一緒に動き、太いフィラメントの上を出入りしています。
つまり、縮んでいるのはサルコメアであって、フィラメントではありません。どちらのフィラメントも、長さを変えていません。
帯の名前を付けたまま動かします。下の括弧が A帯、その両側が I帯 です。
A帯 の幅は 1.60 µm から動きません。太いフィラメントの長さそのものなので、サルコメアが伸びても縮んでも変わらないのです。
変わるのは I帯 と H帯 だけです。どちらも「細いフィラメントが太いフィラメントとどれだけ重なっていないか」を表す長さなので、重なりが増えれば狭くなり、減れば広がります。
左が縮んだサルコメア、右が伸びたサルコメアです。同じ倍率で並べてあります。
A帯 の幅が両方で同じであることを、目で確かめてください。もしフィラメントそのものが縮んでいるなら、A帯 も狭くなっているはずです。
幅が変わらないまま重なりだけが変わるのなら、2 種類のフィラメントは互いにすれ違っているとしか考えられません。これがフィラメント滑走説で、1954 年にこの観察から立てられました。