染色体が何本あるかを数えるとき、目に見える棒の数を数えると必ず間違えます。数えるのは動原体(セントロメア)の数です。動原体が 1 つなら、そこにつながっているものはまとめて染色体 1 本です。
この図の細胞には染色体が 4 本あります。よく見ると、長いものが 2 本と短いものが 2 本です。形も大きさも同じものが 2 本ずつある、というこの組を相同染色体といい、一方は母から、もう一方は父から受け取ったものです。
対が 2 組あるので、この細胞の染色体の数は 2n = 4 と書きます。n は 1 組ぶんの本数で、ここでは 2 です。ヒトなら n = 23、2n = 46 になります。
DNA の量も数えておきます。棒が 4 本あるので、ここでは「4 本ぶん」としておきます。あとで比べるための出発点です。
間期のあいだに DNA が複製されます。複製が終わると、1 本だった染色体は 2 本の棒が寄り添った姿になります。この 2 本を姉妹染色分体といい、まったく同じ遺伝情報を持っています。
ここが取り違えの起きるところです。棒は 8 本に見えますが、動原体は 4 つのままです。動原体を数えるのですから、染色体の数は 4 本のままで増えていません。
増えたのは DNA の量だけです。4 本ぶんから 8 本ぶんへ、ちょうど 2 倍になりました。染色体の数と DNA の量は別の量で、増えるときも増えません。
複製されたのに数が増えない、というのは覚えにくい言い方です。「複製しても動原体は増えない」と言いかえると、そのまま数え方の説明になります。
後期になると動原体が 2 つに分かれ、姉妹染色分体はそれぞれ独立した染色体になります。ここではじめて染色体の数が変わります。
分かれた瞬間、1 つの細胞の中に染色体は 8 本あります。この状態は長くは続きませんが、確かに 8 本です。DNA の量は 8 本ぶんのままで、こちらは変わっていません。
そのあと細胞質分裂で細胞が 2 つに分かれると、それぞれの細胞は染色体 4 本と DNA 4 本ぶんを受け取ります。出発点とまったく同じ 2n = 4 に戻りました。
染色体の数が変わるのは複製のときではなく後期、DNA の量が変わるのは後期ではなく複製のとき。増える場所がずれている、というのがこの単元のいちばん大事なところです。
横軸に時間、縦軸に量を取って、染色体の数と DNA の量を重ねて描いてみます。もとの細胞の値を 1 として、その何倍かで見ます。
DNA の量は間期の途中で 1 から 2 へ上がり、そのまま分裂を通り、細胞質分裂で 1 に戻ります。上がる場所は複製のところ 1 か所だけです。
染色体の数は複製のあいだ動かず 1 のままで、後期で 2 になり、細胞質分裂で 1 に戻ります。上がる場所が DNA よりずっとあとです。
2 本の線が離れているあいだが、1 本の染色体が 2 本の染色分体でできている期間です。試験で問われるのはたいていこの期間の話なので、グラフのどこにいるかを言えるようにしておくと迷いません。