染色体が両極へ分かれ終わると、最後に細胞質そのものを 2 つに分けます。これが細胞質分裂です。
動物細胞では、赤道面のあたりの細胞膜のすぐ内側に、輪になったつくりができます。これが収縮環で、アクチンフィラメントとミオシンでできています。
この輪が少しずつ縮むと、外側から絞られるように細胞がくびれていきます。くびれはどんどん深くなり、ついに細胞膜どうしが触れ合って、1 つの細胞が 2 つになります。
巾着の口を紐で締めるのと同じ動きです。分けるための材料を新しく足すのではなく、いまある膜を絞っているだけなので、外から中へ向かって進みます。
植物細胞では、この締める動きが使えません。細胞のいちばん外にかたい細胞壁があるからです。壁は絞れないので、外からくびれることができません。
そこで植物細胞は、逆のやり方をとります。細胞の真ん中に仕切りを作り、それを外へ向かって育てていくのです。
まず赤道面に小さな袋が集まり、つながって板になります。これが細胞板です。細胞板は中央から周りの細胞壁へ向かって広がっていき、両端が壁に届いたところで細胞が 2 つに分かれます。
できあがった細胞板は、そのまま新しい細胞壁になります。動物細胞は外から中へ、植物細胞は中から外へ。進む向きが逆になっています。
2 つを左右に並べて、同時に動かしてみます。分かれ終わるまでの時間はそろえてあるので、進み方の違いだけが目に入ります。
左の動物細胞は、輪郭そのものが真ん中へ食い込んでいきます。分かれる直前の形はひょうたんのようになり、くびれた首がだんだん細くなって切れます。
右の植物細胞は、輪郭が最初から最後まで四角いままです。変わっているのは中だけで、真ん中に現れた線が上下へ伸びていきます。
どちらの図を見せられても、輪郭がへこんでいるかいないかで、動物か植物かを見分けられます。試験の図でもここを見るのがいちばん速い方法です。
2 つのやり方が違うのは、細胞のつごうが違うからではありません。細胞壁があるかないか、それだけです。
壁のない動物細胞は、膜だけで包まれているので変形できます。だから絞るという手が使えます。壁のある植物細胞は変形できないので、仕切りを作るしかありません。
この見方をしておくと、覚え直しがいりません。植物細胞の図に細胞壁を描き込んだ時点で、外から締められないことは自分で分かるからです。
なお、中心体と星状体も動物細胞にはあって植物細胞にはありません。植物細胞にも紡錘体はできますが、その出どころが違います。細胞質分裂とあわせて、動物と植物の分裂の違いはこの 2 つです。