鉄の原子は、原子核の周りに 26 個の電子を持っています。
電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 14 個、N 殻に 2 個が入ります。
鉄は、外側の N 殻の 2 個の電子を失って \mathrm{Fe}^{2+} になる他、内側の M 殻の電子を更に 1 個失って \mathrm{Fe}^{3+} にもなります。
鉄を希硫酸に入れると、水素を出しながら溶けて、淡緑色の \mathrm{Fe}^{2+} を含む水溶液になります。
\mathrm{Fe} + \mathrm{H_2SO_4} \longrightarrow \mathrm{FeSO_4} + \mathrm{H_2}
\mathrm{Fe}^{2+} は空気中の酸素で酸化されやすく、次第に黄褐色の \mathrm{Fe}^{3+} に変わります。
水酸化ナトリウム水溶液を加えると、\mathrm{Fe}^{2+} からは緑白色の水酸化鉄(II) が、\mathrm{Fe}^{3+} からは赤褐色の水酸化鉄(III) が沈殿します。
鉄は、水と酸素の両方に触れていると、次第に錆びて赤錆になります。
赤錆の主な成分は、水を含んだ酸化鉄(III) です。
一度沸騰させて空気を追い出した水だけ、または乾いた空気だけに触れていても、鉄は殆ど錆びません。
鉄を強く熱したときに表面に出来る黒錆(四酸化三鉄 \mathrm{Fe_3O_4})は、内側を守る膜になります。
鉄を錆びにくくするために、亜鉛で鍍金したものをトタン、スズで鍍金したものをブリキと言います。
トタンは傷が付いても、鉄よりイオンになりやすい亜鉛が先に溶けるので、鉄が錆びにくくなっています。
鉄の原料は、赤鉄鉱 \mathrm{Fe_2O_3} や磁鉄鉱 \mathrm{Fe_3O_4} などの鉄鉱石です。
溶鉱炉の上から鉄鉱石、コークス、石灰石を入れ、下から熱風を送ります。
コークスが燃えて出来た一酸化炭素が、鉄鉱石を還元して鉄にします。
\mathrm{Fe_2O_3} + 3\mathrm{CO} \longrightarrow 2\mathrm{Fe} + 3\mathrm{CO_2}
融けた鉄は炉の底に溜まり、銑鉄として取り出されます。
石灰石は、鉄鉱石に含まれる不純物と結び付いてスラグになり、銑鉄の上に浮いて取り除かれます。
銑鉄は炭素を約 4 % 含み、硬いけれど脆い性質があります。
銑鉄を転炉に移して酸素を吹き込み、炭素を 2 % 以下に減らしたものを鋼と言います。
鋼は粘り強く、建物の骨組みやレール、自動車などに使われています。
鉄にクロムやニッケルを混ぜた合金はステンレス鋼と言い、錆びにくいので、台所の流しや食器に使われています。
私たちの血液では、赤血球のヘモグロビンに含まれる鉄が、酸素を運んでいます。