周期表の 3 族から 12 族までの元素を遷移元素と言い、1 族、2 族、13 族から 18 族までの元素を典型元素と言います。
12 族の亜鉛などは、遷移元素に含めない考え方もあります。
遷移元素は全て金属で、融点が高く、密度の大きいものが多くあります。
典型元素では、周期表の同じ縦の列にある元素同士の性質が似ています。
遷移元素では、同じ横の列で隣り合う元素同士の性質も、良く似ています。
同じ周期の典型元素では、原子番号が 1 つ増えるごとに、一番外側の電子殻の電子が 1 個ずつ増えていきます。
遷移元素では、外側の電子殻の電子は 1 個か 2 個のままで、内側の電子殻に電子が入っていきます。
第 4 周期では、カルシウムの次のスカンジウムから亜鉛までの間に、M 殻の電子が 9 個から 18 個まで増えていきます。
外側の電子の数が殆ど変わらないので、隣り合う遷移元素同士の性質が似ています。
遷移元素では、外側の電子殻の電子だけでなく、内側の電子殻の電子も反応に関わります。
そのため、1 つの元素が幾つもの酸化数を取ることが多くあります。
例えば鉄は +2 と +3、銅は +1 と +2 の酸化数を取ります。
マンガンは +2 から +7 までの色々な酸化数を取り、過マンガン酸イオン \mathrm{MnO_4^{-}} では +7 です。
遷移元素のイオンや化合物には、色の付いたものが多くあります。
水溶液の中で、\mathrm{Cu}^{2+} は青色、\mathrm{Fe}^{2+} は淡緑色、\mathrm{Fe}^{3+} は黄褐色、\mathrm{Ni}^{2+} は緑色に見えます。
\mathrm{MnO_4^{-}} は赤紫色、\mathrm{Cr_2O_7^{2-}} は赤橙色で、どちらも強い酸化剤として使われます。
これに対して、\mathrm{Na}^{+} や \mathrm{Ca}^{2+} など、典型元素のイオンの水溶液の多くは色が付きません。
遷移元素やその化合物には、触媒として働くものが多くあります。
触媒は、それ自体は変化せずに、反応を速くする物質です。
過酸化水素水に酸化マンガン(IV) を加えると、酸素が勢い良く出てきます。
2\mathrm{H_2O_2} \longrightarrow 2\mathrm{H_2O} + \mathrm{O_2}
工業でも、アンモニアを作るときには鉄を主な成分とする触媒が、硫酸を作るときには酸化バナジウム(V) が使われています。