シナプスのしくみは、どこでも同じです。違うのは、次の細胞の受容体がどのイオンを通すかだけです。
Na⁺ のようなプラスのイオンを通す受容体なら、それが流れ込んで膜電位が上がります。
塩化物イオン Cl⁻ のようなマイナスのイオンを通す受容体なら、それが流れ込んで膜電位が下がります。
膜電位を上げるシナプスを興奮性シナプスといいます。このとき次の細胞に生まれる電位の変化を興奮性シナプス後電位、略して EPSP といいます。
膜電位が上がるので、閾値に近づきます。次の細胞は興奮しやすくなります。
図の矢印は上を向いています。ただし、線が閾値まで届いていないことにも注目してください。
膜電位を下げるシナプスを抑制性シナプスといいます。このとき生まれる電位の変化を抑制性シナプス後電位、略して IPSP といいます。
膜電位が下がるので、閾値から遠ざかります。次の細胞は興奮しにくくなります。
抑制は、信号を止めることではなく、逆向きに引くことです。同じ細胞に興奮性と抑制性の両方が来ていれば、その引き合いで結果が決まります。
シナプス 1 つが起こす電位の変化は、数ミリボルトしかありません。静止電位から閾値までは 15 ミリボルトほどあるので、1 つでは足りません。
図でも、線は閾値の点線のずっと下で止まっています。活動電位は起きません。
これは弱点ではなく、そういう作りです。1 つの入力で発火してしまうなら、たくさんの入力を受け取る意味がありません。
1 つの EPSP が消える前に次が届けば、2 つは足し合わさります。これを時間的加重といいます。
別々の枝に同時に届いたものも足し合わさります。これを空間的加重といいます。
こうして足し合わせた電位が閾値を越えたとき、はじめて次の細胞が興奮します。ニューロンは、受け取った入力を足し引きして、越えるか越えないかを決める細胞です。