活動電位が通り過ぎたばかりの膜では、Na⁺ のチャネルが閉じたままになっています。一度開いて閉じたチャネルは、すぐには開ける状態に戻りません。
図の左側が、いま興奮が通り過ぎたところです。チャネルには蓋がかかっていて、電位が動いても開きません。
元に戻るには少し時間が要ります。この時間を不応期といいます。
不応期のあいだに、もう一度刺激してみます。閾値を大きく越える強さで刺激しても、活動電位は出ません。
開けるチャネルがないのですから、刺激の強さは関係ありません。全か無かの法則で「越えれば必ず出る」といっても、それは不応期を抜けたあとの話です。
不応期が明けるにつれて、だんだん出るようになります。はじめは強い刺激でだけ出て、やがて元の閾値で出るようになります。
興奮が軸索の途中まで進んだところを考えます。興奮しているところの両隣は、どちらも同じように電流を受け取ります。
それでも興奮が広がるのは前だけです。後ろはいま通ってきたばかりで不応期に入っているので、電流を受け取っても興奮できません。
興奮が一方向にしか進まないのは、道が一方通行だからではありません。後ろが一時的に興奮できなくなるからです。実験で軸索の真ん中を刺激すると、興奮は両方向へ進みます。
間隔を詰めて 2 回刺激すると、2 回目が不応期に入ってしまい、興奮は 1 回しか起きません。
間隔を広げていくと、あるところから 2 回とも起きるようになります。その境目が不応期の長さです。
ここから、1 秒間に起こせる興奮の数には上限があることが分かります。強い刺激ほど回数が増えるといっても、いくらでも増やせるわけではありません。